アナダン周辺にシリア軍が猛爆か

2012.8.8


 BBCによれば、衛星写真がシリアのアレッポ周辺に重火器を用いた攻撃が増加していることを明らかにしたとアムネスティ・インターナショナルは言いました。

 同グループは写真がアナダン(Anadan)周辺の政府軍と反政府軍の戦いによる、600以上の砲撃の弾痕と思われるクレーターを示すと言い、政府と反政府派の両方に民間人を守る権利があると警告します(衛星写真はこちら)。ある写真では集合住宅に見える建物の横にクレーターがあります。シリア政府、反政府派両方からアムネスティの主張に対してコメントはしていません。専門家はアムネスティの写真解析に同意すると言います。


 北朝鮮が韓国の延坪島を砲撃した時はGoogle Earthはすぐに周辺の衛星写真を提供してくれて、お陰で私は詳細な砲撃の分析を行って、当サイトで公表できました。しかし、これだけシリア内戦が大きくなっても、アレッポ周辺の衛星写真は古いままです。この報道がきっかけで、新しい写真に差し替えて欲しいところです。

 アムネスティの主張は正しいものですが、私はアナダン周辺を写した衛星写真が、集合住宅周辺を除くと、見事に市街地を避けている点に気がつきました。矛盾していると思われるかも知れませんが、弾痕の範囲内だけに被害が出るわけではなく、吹き飛んだ物で範囲外に被害は及びます。その点でアムネスティの主張は妥当なのです。しかし、狙いのつけ方はシリア軍が市街地を直接砲撃することを避けていることが分かります。これは反政府派を掃討した後のことを考えて、「テロと戦うための、やむを得ない攻撃だった」と住民を納得させるための工夫と見えます。

 アナダン西側への砲撃が激しいのは、この方面からアナダンに攻め入ろうとして、その準備のための砲撃だったことを連想させます。 アレッポやダマスカスの方もこのような感じなのかを知りたいところです。



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