シリア首相がヨルダンへ離脱か

2012.8.7


 military.comによれば、シリアのリヤド・ヒジャブ首相(prime minister Riad Hijab)がアサド政権から離反したと声明を出しました。

 側近によると、ヒジャブ首相は数ヶ月間離反を計画していました。自由シリア軍のアフマド・カッシム(Ahmad Kassim)はヒジャブ首相が3人の大臣と共に離反したと言いましたが、あとで離反したのは大臣2人だったと言いました。元農業大臣のヒジャブ首相はアサドが支配するバース党の支持者と考えられていました。ヨルダン政府当局者は、ヒジャブが家族と共に離反したことを認めましたが、その他の大臣が来たかどうかについてはコメントしませんでした。ヨルダンの情報大臣、サミー・マーヤタ(Sameeh Maaytah)はヒジャブがヨルダンへ離脱したことを否定しましたが、その声明は力のある隣国を怒らせることに関する王室の懸念を反映しているように見えました。離反した他の大臣の身元は分かっていません。


 記事は気になる部分だけを抽出しました。

 状況は明らかに奇妙です。首都を奪還したというのにアサド大統領は姿を見せず、側近のヒジャブ首相が亡命しました。到底、シリア政府の言い分を信用することはできません。

 しかし、アレッポの総攻撃が成功するようなら、まだシリア軍には十分な力があることになります。我々、シリア国外にいる者は断片的な情報しか与えられていません。判断は慎重に行うべきです。

 それでも、ヒジャブ首相が国外で暫定政権を組織する動きを見せれば、国際社会が同調する可能性が高く、それはアサド政権にとって大きな痛手です。アラブ諸国がヒジャブ首相を窓口にして、資金を反政府派に流し込むといった動きが考えられます。すぐにアメリカやEUの高官が彼に面会し、暫定政権を既成事実化しようとする可能性もあります。

 残る心配は、国際社会はリビアの事例と違って、直接軍事介入できないため、シリア軍の勢いを止めにくいということだけです。



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