試乗でヘリモードは危険のない場所だけ

2012.8.5


 military.comの記事から森本大臣のMV-22試乗ルートがどんなものであったかを推定してみました。

 記事には以下のような描写があります。

森本氏が乗ったオスプレイは国防総省のヘリポートを飛び上がって離陸すると、この地区へ入ったり周囲を飛ぶ制限に従ってすべてヘリコプターモードで、ワシントン記念塔に近いポトマック川に沿って北に向かって低く飛び、クアンティコの海軍基地に向けて緩やかに左旋回をしました。

 同情した記者はパイロットがノースカロライナ州ニューリバーのVM266航空隊から来たパイロットで、それから森本氏がMV-22についてさらに技術的な説明を受けたクアンティコ海軍基地に最も速く向かうために航空機モードにするためにローターを倒しました。森本氏は生き生きとしているようで、最初のオスプレイの経験を楽しんでいるように見えたと記者は言いました。

 この記事からMV-22の飛行ルートを推定するとこうなります。国防総省のヘリポートを離陸すると、MV-22は国防総省の巨大な駐車場の上を横切ってポトマック川の上で左旋回をし、それから航空機モードに切り替えてからクアンティコへ進路を向けました。

 その結果、ヘリコプターモードだったのは国防総省の要地の中か、ポトマック川の上だったことが分かりました。正確な飛行ルートは分からないものの、Google Earth上で再現を試みました。(kmzファイルはこちら

図は右クリックで拡大できます。

 国防総省の西には幹線道路が走っています。ここを避けるように川の上に出れば、ほとんどが国防総省の要地の上を飛べます。ローターを傾けて、航空機モードになったのが川の上であったことは、ニュース映像から確認できます。海兵隊高官は「沖縄の普天間基地と似た状況を体験してもらうため」と説明したと言いますが、実に巧妙な嘘です。海兵隊は普天間基地でヘリコプターモードを使いたいのです。それならば、ワシントンの住宅地上空でヘリコプターモードで飛んでみせるべきです。

 ところが森本防衛大臣の感想は「全体として、市街地にあまり大きな影響を与えないだろう」です。市街地の上空はヘリコプターモードでは飛んでいないので、市街地への影響を判定できるわけはありません。

 これが今回の試乗の実態です。森本氏はロバート・ゲーツ前国防長官のような切れ者ではないと思っていましたが、それがこれではっきりしました。



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