ビン・ラディン本を出版したシールズ隊員の身元判明

2012.8.26


 military.comによれば、ペンネームでオサマ・ビン・ラディン襲撃の報告を書いた米海軍特殊部隊員はマット・ビソネット(Matt Bissonnette)だったと分かりました。

 ビソネットはフォックスニュースが最初に特定しました。匿名の米軍当局者、現役1人、退役1人がその氏名を認めました。「No Easy Day」は9月11日に発売される予定で、著者名はマーク・オウエン(Mark Owen)というペンネームでした。出版社のペンギングループ(Penguin Group)のダットン社(Dutton)は木曜日に、著者の安全を理由に報道機関に彼の名前を公表しないよう要請しました。ビソネットは他のシールズ隊員の名前も変えたと出版社は言いました。特殊作戦軍広報官、ティム・ナイ大佐(Col. Tim Nye)は、退役したシールズ隊員は身元が知られることで危険にさらされることがあると言いました。それは著者が昨年、パキスタンのアボタバードでビン・ラディンを殺害するために共に活動した現役のシールズ隊員の身元も暴露しかねません。コメントを得るためにビソネットの居場所を見つける努力は成功しませんでした。

 特殊作戦の功績を宣伝する新刊が相次いでいます。最近シールズを引退したクリス・カイル(Chris Kyle)が書いた「American Sniper」は1999〜2009年に150人以上の武装勢力殺害を説明します。

 少数の特殊作戦支持グループはリークを非難しましたが、彼らはバラク・オバマ大統領がビン・ラディン襲撃の詳細を公表したことを非難するオンラインの宣伝ビデオの中で、元エリートグループのメンバーとして氏名を公表しました。特殊作戦軍は今年の映画「Act of Valor」のために通常の秘密保持に例外を設け、現役のシールズ隊員がアクションシーンを本物らしく見せるために訓練を行いました。

 「No Easy Day」の著者は本の宣伝のために覆面インタビューをする予定です。この本はすでにAmazon.comとBarnes & Noble.comでトップ10に入っています。身元が明らかになった危険だけでなく、国防総省が説明の中で彼が機密情報を暴露したと決定すると法的なトラブルにも直面します。米軍と情報当局者は、国防総省がこの本を読んで承認したとは思わないと言います。国防総省は機密の資料が公開されていないかを確認するために、現役と退役両方の軍人が出版物を評価します。


 以前に特主部隊員の氏名秘匿がどれだけ守られているか疑問だと書きましたが、かなり大らかな状況にあることが分かりました。メディアはビソネットだけでなく、かなりの特主部隊員の身元を知っているのだろうとも想像できます。

 人間には変な自己顕示欲があることを我々は自覚する必要があります。特に過酷な訓練を経験する特主部隊員に志願する者の心理は、それを誰かに知って欲しいという欲動を禁じ得ないのです。こうして機密は少しずつ暴露されていくことになるのです。軍もテロと戦っていることを国民に知ってもらうために格好の宣伝素材なので、特殊部隊に関する情報を小出しにしていきます。こうして、秘密は秘密でなくなっていくのです。実際、私も報道されている記事から、特殊部隊の戦術や能力の限界に関する情報を得ています。

 情けないのは国内メディアです。特殊部隊を忍者部隊と持ち上げ、記事を飾ることしか考えません。特殊部隊が極度の秘密を保持することから問題が起きないのかを考えようともしません。軍事マニア向けの記事を書いて満足しているだけです。



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