シリア内戦に反政府派が優勢の可能性

2012.8.2


 アルジャジーラによれば、シリアのバシャル・アル・アサド大統領(President Bashar al-Assad)が声明を出しましたが、文書で一般的なことを述べただけに留まりました。

 アサド大統領は反政府派との軍の戦いが国の運命を決めると言い、彼が犯罪者のテロリストギャングと呼ぶ者たちと戦う兵士を称賛しました。「過去、現在、未来の国民と国家の命運はこの戦いにかかっています」と2週間公の場で話をしていないアサド大統領は水曜日に軍隊記念日を祝う文書の声明で言いました。アサド大統領は軍隊が敵に対する英雄的な戦いに従事し、国は命運をかけた重要な戦いを闘っていると言いました。

 水曜日の会見で、国連は反政府派が戦車を含む重火器を持っていることを確認しました。アレッポの戦いには、戦車、ヘリコプター、重機関銃、大砲を含む重火器が多用されています。

 ダマスカスのバブ・トウマ(Bab Touma)とバブ・シャリキ(Bab Sharqi)の戦いで、少なくともシリア軍兵士1人が殺されました。「これはかつては起きていない地域での戦いです。反政府派がずっと接近しなかった地域です」と「the Syrian Observatory for Human Rights」の代表、ラミ・アブデル・ラーマン(Rami Abdel Rahman)は言いました。さらに、首都のバグダッド通り(Baghdad Street)で爆発と発砲が確認されました。首都南のタダモン(Tadamon)が夜明け前に迫撃砲で攻撃されました。

 アレッポでは激戦が続いています。「大勢の反政府派がサルヒン(Salhin)とバブ・アル・ナイラブ(Bab al-Nayrab)の警察署を攻撃し、何時間も続いた戦いで少なくとも警察官40人が殺されました」「彼らは後でハナノ(Hanano)で3つ目の警察署を占領しました」。

 記事にはシリア軍による虐待も書かれています。BBCは反政府による政府軍捕虜の殺害をビデオ映像で報じています。

 また、AFPも現地にいる反体制派が複数の戦車を奪い、いくつかの機甲部隊が車両とともに政府軍を離脱したと報告したと報じています。


 アサド大統領の逃亡は決定的と思われます。かなり前に大統領宮殿を脱出したと考えます。声明文は代理が書いた可能性もあり、何の証拠能力もありません。

 やっと反政府派が重火器を使っていることが確認されました。これで少し納得できました。先日のBBCの映像に、小口径の迫撃砲を使う反政府派兵士が写っていました。これは重火器とは言えませんが、しっかり固定しないで使っていたので、狙いが正しくついていたとは思えません。兵士は以前に迫撃砲を使ったことがないように見えました。

 戦車は訓練を受けた者でなければ、簡単には使えません。戦車の操縦経験がある者か反政府派についたシリア軍兵士が動かす必要があります。気になるのは、こうした兵器と人員の規模です。状況はそれが大量に起きてもおかしくない、むしろそうでないとおかしい段階に来ています。

 今のところは反政府派が戦車を操縦している映像を私は確認していません。元現役兵が重火器を操作する姿が見られるようになれば、これは重大な進展です。

 さらに新しい場所で戦闘が起きていることを考えると、反政府派が優勢である可能性が考えられます。メディアの情報源は国連や人権団体などで、彼らはすべての場所を見て回れる訳ではありません。反政府派側の情報発信が下手で、状況が伝わっていない可能性を感じます。



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