自由シリア軍にアルカイダ戦士が参加

2012.8.10


 military.comによれば、シリアの反政府派にアルカイダのメンバーが参加しています。

 「アルカイダはこうした軍事活動の経験があり、どうすればよいかを知っています」とアルカイダ系反政府軍兵士、アブ・クデル(Abu Khuder)はガーディアン紙に話しました。オバマ政権は反乱が政権を倒すことに期待して、彼らに武器を買うために米諜報員と接触させ、静かに反政府派を支援していました。クデルはアルカイダの戦士は反政府軍指導部と密接に活動し、ほとんど毎日会っていると言いました。「我々は(アルカイダの)指導者から自由シリア軍が必要とすれば援助しろという明確な命令を得ています」「我々は彼らをIEDと自動車爆弾で彼らを助けます。我々の主な能力は爆弾作戦です」。自由シリア軍にアルカイダ戦士がいることは常識ですが、彼らはその存在を隠そうとするとガーディアン紙は言います。「彼らはアメリカが来て、我々と闘うことを恐れています」「だから、我々は秘密に闘います。アサドと西欧に口実を与えることはありません」。


 アルカイダがアラブの春に参加したがったことは、すでに周知の事実でしたが、シリア内乱に参加していることが確認されたのは初めてです。

 私はアルカイダのこういう戦略は本末転倒だと思っています。毅然権力を破壊して、厳格なイスラム世界に回帰し、そのための帝国を北アフリカから中東、中央アジアに確立することが彼らの目的です。しかし、だからといって、既存の権力を覆そうとする大衆運動に加担しても、目的は達成されません。なぜなら、そうした反乱の多くは民主化を求めるもので、新しい政権は穏健派である場合が多いからです。エジプトでもリビアでもアルカイダは地歩を固められませんでした。

 アメリカがアラブの春を支持するのも、アルカイダの加担を織り込んだ上の話です。アルカイダは財政的に自由シリア軍を支援できません。それは金を持っているアラブ諸国などの仕事です。アメリカは軍事面で密かな支援を行えます。アルカイダの支援は戦いが終われば必要なくなる性質のものですし、IEDのような単純な爆弾は、シリア軍での従軍経験を持つ自由シリア軍兵士がすぐに吸収してしまうでしょう。それに気がつくまでは、アルカイダはこの戦略を続けるのでしょう。

 なお、明日は記事を更新できない見込みです。よろしくお願いします。



Copyright 2006 Akishige Tanaka all rights reserved.