サラハディン地区は反政府派が保持か

2012.8.1


 アルジャジーラの記事からシリアのアレッポの戦闘を考えます。戦況に関する部分だけを抽出しました。

 火曜日に重火器の発砲音がサラハディン地区(Salaheddin district)で聞こえました。シリア政府はこの地区を取り戻したと主張しますが、反政府派は否定しています。火曜日に攻撃ヘリコプターが初めて東部の反政府派が支配する地域を機銃掃射し、あとで同じ地域をミグ戦闘機が攻撃しました。2日前、シリア軍はサラハディン地区を奪取したと言いましたが、シリア国営テレビは火曜日に政府軍は現在、テロリストの残りを追いかけていると言い、軍がこの地域を完全に支配していないことをほのめかしました。アレッポの反政府派指揮官の一人が、彼の部下は地区から地区へと市中心部へ向かっており、目標は数週間ではなく数日の内に達成できると言いました。反政府派は東から南西地区をカバーする弧を支配します。

 「政権はサラハディンを3日間取り戻そうとしましたが、その試みは失敗し、多くの人命と兵器の損失を被り、撤退を余儀なくされました」と、統反政府派の統一軍事評議会のアブデル・ジャバール・アル・オクアィディ大佐(Colonel Abdel-Jabbar al-Oqaidi)は言いました。

 火曜日に先月300人以上が殺された東部のデリゾール(Deir al-Zor)で戦いが再開しました。市民の70%(約50万人)は逃げました。

 その他、シリア国外で暫定政権を作る話も出ていますが、まだ流動的なので省略します。


 サラハディン地区は反政府派の手にあると考えてよさそうです。記事のビデオ映像を見ても、市内に入って破壊された戦車が確認できます。政府軍は戦車を小出しにして、RPGなどで反政府派に破壊されているようです。

 アルジャジーラの記者がアレッポ市内に入ったので、さらに詳細な情報が得られるかも知れません。

 今日の記事を読むと、シリア軍がまともに動いているようには感じられません。組織的に動いていない可能性を考えるようになりました。

 デリゾールでの戦闘は、内乱が全国的で、政府軍の手が足りなくなっている可能性を連想させます。ダマスカスを掌握したという政府の発表もそのまま信用はできません。



Copyright 2006 Akishige Tanaka all rights reserved.