ベイルズがアルコールとステロイドを併用?

2012.6.3


 military.comによれば、アフガニスタンのカンダハル州で民間人16人を虐殺したロバート・ベイルズ2等軍曹(Staff Sgt. Robert Bales)が派遣中にアルコールとステロイドを使用した疑いをかけられています。

 米陸軍は金曜日にベイルズへの起訴を更新し、17件の殺人罪の一つを取り下げる一方で、新しい不正行為をつけ加えました。ベイルズは現在、3月11日に16人を殺害した件で起訴されています。

 事件が報じられてから犠牲者の数は議論の的でした。アフガン筋は最初に16人の犠牲者がいたと報告し、陸軍の調査が17人の死者を報告した理由は不明でした。

 軍当局はアルコールが殺人の要因だったことを示唆して、数ヶ月も情報をリークしました。シアトルタイムズ紙(The Seattle Times)はルイス・マッコード合同基地(Joint Base Lewis-McChord)を含め、陸軍でステロイドの使用が増加していると報じました。

 ベイルズの弁護団の一人、エマ・スキャンラン(Emma Scanlan)は、陸軍がパンジャイ地区(Panjwai)にいる特殊部隊の兵士からステロイドを手に入れていたと主張すると言いました。彼女は目撃情報がベイルズが犯行当日に他の兵士と共に適度な量のアルコールを消費し,その量は彼の行為に影響を与えていないことを示唆すると言いました。「彼はアルコール中毒ではありません。彼が飲んだアルコールがこの事件を起こさせたという話は馬鹿げています」。

 この記事を理解するためには、記事中のシアトルタイムズ紙の記事を読む必要があります。関連する部分だけを紹介します(記事はこちら)。

 2009年に約700人の部隊でステロイド使用が発覚し、大尉と中尉、曹長が各1人、他9人の兵士がステロイドの使用を認める事件が起こりました。陸軍でのステロイド使用は戦時中に増加します。戦地派遣に備えて、彼らは筋力を高めるためにステロイドを使用します。2008年に行われた国防総省の最新調査では、過去12ヶ月間に2.5%の隊員が違法ステロイドを使用し、3年前の1.5%から3倍に跳ね上がりました。陸軍中で見ると歩兵がよく使用しています。ステロイド使用を認めた兵士は、その部隊の半数以上がステロイドを試していると見積もりました。継続的な使用が疑われる兵士はローションの箱に見せかけた通信販売を利用していました。

 ステロイド剤は筋肉の量と強さを増やせますが、効果を出すために医師が処方したよりも大量に飲まれることがあります。高血圧、心臓を肝臓の疾患のレベルを高め、副作用には気分の変動、短期、攻撃性の増加があり、それらは戦闘へ向かう兵士には危険があります。

 2008年以降、約300人の兵士がステロイドの検査を受けました。比較して麻薬のテストを受けた兵士は450,000人です。ステロイドの尿検査の費用は1サンプルあたり240〜365ドルで、マリファナの場合は8ドルです。

 誰も有罪判決を受けなかったので、資料のステロイド使用を認めた兵士の名前は塗りつぶされていました。兵士たちは懲戒処分の対象になりました。大尉は第15条の処罰を受け、減給と最大30日間の兵舎内での拘禁を科されました。一部の兵士はイラクではステロイド使用は秘密ではなかったと言います。将校たちはステロイドの調査をしたがっていませんでした。


 ステロイドは筋肉増強剤として使われますが、強い副作用があることで知られます。兵士がこれを使用しているのは問題です。

 アルコールと共にステロイドを使用した場合、何か異常な事態が起きるのかは知りませんが、ベイルズの事件ではその影響は強く疑われます。アルコール単体では危険な量ではなくても、特に精神病の薬とアルコールを同時に服用すると予測できない状態になることがあり極めて危険だといわれます。それが事件を起こした可能性は慎重に判断する必要があります。むしろ、私はこれで事件の原因が解明されたのかも知れないとすら感じました。もちろん、即断すべきではないでしょうが、この情報は無視できません。



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