米原潜のいじめ事件で最先任曹長が解任

2012.6.26


 military.comによれば、米海軍の原子力潜水艦が外国の港にいる間に、悪ふざけが最高位の下士官を解任する事件を引き起こしました。

 AP通信が入手した報告書によれば、このいじめ事件は、原潜フロリダ(USS Florida)の最先任曹長(chief of the boat)、チャールズ・ベリー最上級整備士(Master Chief Machinist's Mate Charles Berry)の配置換えを招きました。

 海軍は3月30日にスティーブン・ガレスピー艦長(Capt. Stephen Gillespie)がベリーを職務怠慢で最先任曹長から解任したと発表しました。海軍はフロリダのいじめ事件について詳細は発表していませんが、ベリーはいじめに関与していませんが、それを知りながら指揮系統に報告しなかったとしています。

 情報公開法によってAP通信が入手した調査報告書は、いじめはインド洋のディエゴ・ガルシア港で別の男がナイフを突きつけて、彼をレイプしようとしたと報告された水兵に向けられました。書類上のすべての氏名は編集されていました。報告書は、水兵は艦上で大抵は人気があり、最後にはいじめが止むと考えて数ヶ月間我慢したといいます。彼は同性愛者に対する軽蔑的な言葉で、同性愛者をテーマにした「ブロークバック・マウンテン」になぞらえた「ブロークバック(Brokeback)」と呼ばれていました。さらに、ある者は性的な暴行を描いた棒線画を掲示しました。「聞かない、言わない政策」の撤廃に関するグループ訓練の前、水兵は同性愛者であることを告白させられ、他の兵士がいつ彼のボーイフレンドに会えるのか、彼のボーイフレンドがフィリピン人(彼をレイプしようとしたと彼が言う国籍)かどうかを尋ねられました。報告書は軽蔑的な発言をした兵士は、仲間がナイフを彼に突きつけたり、彼に与えられたコメントの心理的代償を認識しなかったと言います。2011年に8ヶ月間のあと、水兵は自殺を考え、耐えられずに自分か他人を傷つけるかも知れないというメモを書きました。

 いらやがらせに参加した兵士は降格と減給を含む懲罰を受ける可能性があります。


 記事の後半は省略しました。

 最先任曹長は下士卒の最高位にあり、艦内の警備も担当します。官庁と副艦長に次いで艦の高校に責任を持つ立場にあり、そういう意味では他の将校よりも高い立場にあります。その人物を解任せざるを得なくなる問題が起きたことは重大です。ベリー最先任曹長が問題にどう対処したかは、この記事には書かれていません。しかし、おそらくは事態を穏便に済ませようとして、報告を怠ったのでしょう。艦長としては彼を解任せざるを得ないのは当然です。自分が艦長なら、それだけでは済まさないでしょう。問題を起こした水兵たちは最大の処罰を受けるように計らいます。報告書の文言は彼らにとって最悪のものになるということです。これくらいやらないと、艦内の規律は保てません。

 特別な訓練を受けた潜水艦乗りも、この程度のレベルです。軍隊内の様々な差別は根絶できていません。



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