補給路再開は謝罪だけでは無理?

2012.6.14


 military.comによれば、帰国したレオン・パネッタ国防長官(Defense Secretary Leon Panetta)は米上院で、パキスタンの補給路を再開するには謝罪よりも多くの問題が存在すると言いました。

 上院歳出委員会でダイアン・ファインスタイン上院議員(California Sen. Dianne Feinstein)はパネッタ長官に、昨年11月にパキスタン兵24人を殺した越境攻撃の誤りを認めるのなら、なぜすぐに謝罪しないのかと尋ねました。パネッタ長官は「これはまだ交渉中の問題です。我々がこれをどう解決するかについて議論があり、あなたが言う問題はそれらの中の一つなのです」「私はアレン大将と合衆国が間違いを行ったことを明らかにしていると考えます。間違いは我々の側にありました。パキスタン人の側にもありました。我々は間違いがなされたことに対して哀悼の意を表明しました。我々はそれを明らかにしました。我々はなされた間違いを明らかにし続けました。私は問題はそれだと思います。いま、彼らは(謝罪を)要求するだけでなく、その他の交渉の要素を求めていて、それらは解決に必要な事に関係しています。それは単独の問題ではありません。それは議論されている問題だけでなく、(補給路を)再開させるよう解決することに必要です」と答えました。

 パネッタ長官は詳しくは説明せず、ファインスタイン上院議員はそれ以上追求しませんでした。また、パネッタ長官は北部ルートだけを使う場合、1ヶ月に約1億ドルが戦費に加わるとも言いましたが、戦費の総額は示しませんでした。


 記事の後半はほとんどが既知のことなので省略しました。

 この説明だけでは問題の全容は分かりません。パキスタンが謝罪と共にトラックの通行料の値上げを求めているのなら謝罪はできないでしょう。しかし、単にアメリカの習慣に合わないので謝罪するという発想が出てこないのなら、それは怠慢だと思えます。あるいは、5,000ドルという法外な通行料はパキスタンのプライドだけから出ていて、時期が経てば値下げ交渉に応じるはずだという読みから、現段階では謝罪をしないと考えているのかも知れません。多分、これが真相だと思います。

 1億ドルは約100億円です。これらが重要度の低い補給物資を運ぶための輸送費なのです。つまり、兵士が食べるポテトチップスにも法外な費用がかかっています。武器、弾薬類はこれとは別に燃費の悪い軍用輸送機でアフガニスタンに直接運び込まれています。これは戦争の非効率性を考えるために格好の数字です。



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