テポドン2号の打ち上げ失敗に関するレポート

2012.5.9


 チャールズ・ビック氏のテポドン2号のレポートから、打ち上げから墜落に至るシーケンスに関する部分を掲載しました。 原文はglobalsecurity.orgに掲載されています(該当ページはこちら)。

13日の金曜日の実験的打ち上げ失敗の事象シーケンス

 当アナリストはこの打ち上げ失敗について利用できる公開情報に、その多くが文書化されず、一貫していないことの両方により確信がありません。空軍の公報と部品の分離に関するタイミングと高度についてその他のレーダーのデータを得られなかったことは、多くを未知の中に置いています。出来事のタイミングに一層ややこしい誤りを作るのを助ける、午前7:39:00や午前7:38:55の打ち上げ開始を用いている者の問題があります。2012年4月12〜16日の数日間にわたり、毎日の打ち上げ時間枠は午前7:00から正午でした。

出来事のタイミングシーケンス

1. 離陸

7:38:55
7:39:00 打ち上げ探知

2. Max-Q 7:39:15
3. 韓国のレーダーが打ち上げを探知

7:39:45 艦載
7:39:49 地上基地

4. NORAD 7:40:00 打ち上げ探知
5. NORAD
燃焼期間
7:39:36〜7:39:81 2〜5個の部品が分離
7:39:45〜7:39:90
6. 1段機体の活動停止 7:40:15〜7:41:00 1段機体と2段機体の分離は起きませんでした
7. 飛行中 7:40:30〜7:41:15 高度120kmでの15〜16個の破片にした意図的な破壊が西海人工衛星発射基地から約400kmにある1段機体の落下ゾーンに向けて計画された下向きの範囲に届かない破片を生じました
8. 最大高度 151.4 km(72)
9. 午前7:39:00か7:38:55頃の打ち上げから、午前7:43:00の黄海への墜落までの銀河3号の飛行時間は、最初の落下ゾーンへ向けてレーダーから消えた時に、打ち上げ後約4分か4分45秒でした
10. 第2の落下ゾーンは打ち上げ後約9分30秒 (72)

 81〜90秒の閃光は間違いなくmax-Qが起きてしばらくしてから起きていて、2段機体や3段機体のAPUの起動と、高度管理システムが活動をはじめ、沢山のアンテナのカバーを投げ捨てたのとの組み合わせかも知れません。それはまず2個に分裂させ、それから残りの破片を生んだ最終的破壊の前の4〜5個の分裂を起こしましたが、動力を与えられた上昇には影響がありませんでした。

 シュラウド・フェアリングの2片と人工衛星の太陽電池パネル4枚は、韓国ソウル西方のピョンテク市から約200kmにある最初の落下ゾーンに落ちたと初期観測された2〜5個の破片だと簡単に説明がつきますが、これは推測です。3段機体が積み重ねられたブースターから爆発的に分離されたかはほぼ不明です。

 1段機体も予定通りに自動的に遮断される前に、約112〜118〜120秒間の燃焼を完了しました。これは機体が現行のブースターの仕様通りに適正な弾道学的高度にあがったことから、合理的に確実です。1段機体と2段機体のブースターは共に弾道運動的に上向きに飛び続けました。銀河3号の2段機体は適正に起動せず、正常な高度で適正に分離するのに失敗しました。

 2段機体が起動と分離に失敗した後で、はじめてブースターは推進力を失い、そのために機上のシステムと基地の地上管制官の両方が残り15〜16個の破片を生んだ、韓国のグンサンから190〜200kmに墜落した破壊を命じました。破壊したところで、1段機体と2段機体の破壊は爆発した時に分離しました。

72. North Korean Launch ends in Failure – Flight Reconstruction, North Korean – Launch Updates, Spaceflight101.com, http://spaceflight101.com/index.html, April 13, 2012 p. 114.    


 「Max-Q」は機体にかかる様々な圧力が最大となる時のことです。この時点でトラブルが起きる可能性が非常に高いといわれています。

 前にも述べたように、今回紹介したのは結論部分です。情報の不足により、この結論には推測が含まれています。この前の部分に、各報道と衛星写真に関して詳細な分析が書き込まれていて、本来はそれと合わせて読むべきです。

 1段機体は計画通りに飛んだという点と、最初に分離した部品はフェアリングと人工衛星だとする点が、他の分析と異なっているようです。1段機体は2009年にも正常に動作していることから、この部分はある程度信頼性が確保できたと考えてよさそうです。2段機体の切り離しに失敗した点とフェアリングの破損は進歩が見られません。フェアリングすら満足に作れないのでは、核爆弾の再突入体がうまく作れるとは思えません。

 それにしても、ペイロードが破損しても、すぐに機体を爆破しなかった点は興味深いと感じます。この時点で打ち上げの意義は失われているのに、地上管制官たちは1段機体が燃焼し終わり、2段機体の分離ができないことを確認するまで爆破を待ったのです。

 それにしても、海上自衛隊もデータ収集に成功していれば、この分析はさらに充実したものになったかも知れません。もっとも、それには海上自衛隊がデータをある程度公開すれという前提が必要です。4個に別れて落下したという程度の情報では話になりません。



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