いまも米陸軍に残る人種・性差別

2012.5.7


 military.comによれば、高名な米陸軍の訓練担当曹長学校初の女性校長が、11月にこれまで説明されなかった理由で停職になった後で仕事に復帰しました。

 黒人のテレサ・キング最先任上級曹長(Command Sgt. Maj. Teresa King)は停職に関して申し立てを、停職が彼女の昇進に憤慨した兵士からの人種差別、性差別の結果だったと主張しました。「陸軍のリーダーシップのために、私は人生を米軍兵士の訓練に捧げました。私の排除は正当な理由がありませんでした」とキングは金曜日に言いました。彼女の弁護士、ジェームズ・スミス(James Smith)は、彼女がフォート・ジャクソン基地(Fort Jackson)の訓練担当曹長学校の指揮官の仕事に戻ると言いました。彼女が復帰する決定は米陸軍訓練・ドクトリン部のブラッドレー・メイ少将(Maj. Gen. Bradley May)が下しました。「メイ少将は徹底的な調査のあとで、本件が不当であり、彼女のへの疑いはすぐに晴れたと決定しました」と同部の広報官、クリスチャン・キュービック大佐(Col. Christian Kubik)は言いました。

 申し立てはキングの停職を命じたリチャード・ロンゴ少将(Maj. Gen. Richard Longo)と彼の側近、ジョン・カルペナ最先任訓練担当曹長(Command Sgt. Maj. John Calpen)に対して出されました。2人の男はコメントを求める電子メールに返答しませんでした。

 カルペナは以前に同僚に対してこれを行ったとスミス弁護士は言いました。彼はキングが女性で戦闘経験がないため、彼女を妬んだと言いました。「彼は反対の立場にいる者を貶めて、それを強めるために、こういう事実を用いました。彼は言いました。『私はあなたと働く必要はありません。あなたは女で、戦闘兵種ではありません』。そして、事実はそれは陸軍ではないということです」。


 時間の関係で、記事の後半は省略します。

 今時珍しい事件ですが、まだ軍隊が男性中心社会であることを思い出させてくれました。

 隊員の仕事の内容や能力に問題がある場合は告発が許されますが、この事件は足の引っ張り合いだったようです。戦闘兵種には女性は配属されないものの、戦闘部隊の大隊レベル中の非戦闘部門への配属が認められ(関連記事はこちら)、女性が交戦地域の近くへ行くことは今後予測されます。また、かなり前から女性は基礎訓練の教官を務めています。若い男性兵士が女性教官にしごかれる光景は普通のことです。こういう環境の中で、訓練担当曹長学校の指揮官を女性が務められない理由はありません。

 こうした申し立てがあると、該当者は一旦職務を解かれ、調査が終わるまで停職になります。しかし、無根の事実による訴えとなれば、これは訴えた者が批判されることになるでしょう。

 米軍の中もドロドロした部分がある訳です。日本人も変な米軍信仰は捨てなければなりません。



Copyright 2006 Akishige Tanaka all rights reserved.