タリバン幹部が独占インタビュー

2012.5.16


 military.comによれば、タリバンの穏健派が独占インタビューに応じました。

 タリバン評議会で最も力を持つ一人、アグファ・ヤン・モタシム(Agha Jan Motasim)は和平交渉を提唱しています。クエッタ・シューラ(Quetta Shura)のメンバーによる珍しい独占インタビューで、モタシムは大半のタリバンは和平を望んでいて、強硬論者は僅かだと言いました。「タリバンには2種類あります。外国人は問題を解決していると望んでいると考えるタイプと、それを信じない者たちがいて、後者は外国人は戦いだけを望んでいると考えています」「それでも私はタリバンの大半と指導者たちはアフガン国民のための広い基盤を持つ政府と他のイスラム国のようなイスラム教のシステムを望んでいると言えます」。

 しかし、モタシムはアメリカとイギリスを指して、タリバンを政治的独自性として認めず、約束を撤回することで、政治運動イスラム原理運動の中に穏健派を強化することに失敗したことで西欧を批判しました。こうしたことのすべては強硬論者を強め、彼のような穏健派を弱めていると彼は言いました。

 彼は和平評議会のメンバー、アルサラ・ラフマニ(Arsala Rahmani)が日曜日に暗殺されたことを嘆きました。「彼は国家主義者でした。我々は彼を尊敬していました」とモタシムは言いました。

 モタシムは8月に銃弾を身体に受けて銃傷を負い、追加的な治療のためにトルコにいます。インタビューはそこで行われました。

 タリバンは3つの要求を持っていると彼は言いました。すべてのアフガン人拘留者が米軍が運営するグアンタナモベイとバグラム空軍基地近くの拘留施設から釈放されること。アメリカの制裁ブラックリストからタリバンの名前を削除すること。タリバンを政治結社として認めること。「バグラムには数千の人たちが拘留されていて、タリバンと呼ばれていますが、彼らは農民や聖職者といった無辜の人々です」。


 記事はごく一部だけを紹介しました。

 想像以上に穏健な話で、外国軍の完全撤退すら要求していないところは逆に気になります。アメリカが成果を強調するために、穏健派の代表をAP通信にインタビューさせたのか、通信社独自の取材だったのかが気になるところです。

 タリバンを政治結社として認めるには、タリバン自身が変化する必要があります。残虐な刑罰を止めるなど、タリバンが売り物としてきたことを止めない限り、西欧社会は安心して和平に応じられないと言えます。取り決めるべき事は多く、その為にはかなりの時間がかかると言えます。モタシム氏が言うとおり、ISAFが穏健派と強硬派を区別せずに攻撃しているのなら、それは問題です。強硬派に夜襲を集中するのは選択肢として十分にあり得ることです。穏健派がタリバンの大半なら、ISAFがタリバン全体の勢力を弱めようとすれば、自然に穏健派を攻撃することになります。 この点、区別して攻撃しているという話は耳にしたことがありません。

 他に、アフガンに関して気になるニュースもあります。今後、続報が出てくるはずなので、いまは紹介だけしておきます。military.comによれば、アフガニスタンに派遣中の第82空挺師団の副司令官、ジェフリー・A・シンクレア准将(Brig. Gen. Jeffrey A. Sinclair)が犯罪捜査のために任を解かれ、第18空挺軍団の司令官補佐としてフォート・ブラッグ基地へ戻されました。将官が現地から犯罪捜査を理由に配置換えになることは異例です。現地に置いておけないということは、現地での犯罪行為に関係することかも知れません。結論が出るまで何の発表もないでしょう。続報が出たらまた紹介したいと思います。



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