マリでイスラム武装勢力が台頭

2012.4.4
追加 2012.4.5 13:20


 military.comによれば、アフリカのマリ北部で、軍指導者が燃料と資金不足に見舞われ、トゥアレグ族の反乱軍が広大な砂漠地帯を奪い、イスラム武装勢力が台頭しています。

 国連安全保障理事会は火曜日にマリに関する緊急会議を開くことになっています。マリは3月22日に暫定軍事政権が政権を奪取しています。

 北部のトゥアレグ族に対処できなかったために、下級兵士の一団が民主的に選ばれた政府を追放しました。しかし、クーデター以来、マリ国土の半分以上は武装勢力の手に落ちています。

 国際社会に凍結され、暫定軍事政権は隣国からの制裁にあっています。マリは燃料と基本的物資を隣国からの輸入に大きく依存しています。西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)が発表した総合的な制限は、公費の支払いに影響するダカールの地域中央銀行を反乱から切り離しました。

 バマコ(Bamako・kmzファイルはこちら)が外交・経済・制裁に備えると、イスラム武装勢力がアルカイダ戦士と共に支配した街でシャリア法(Sharia law)を布告し始めました。

 目標は違うものの、月曜日に武装勢力は、イスラム・マグレブのアルカイダ(Al-Qaida in the Islamic Maghreb: AQIM)の指導者、モクタール・ベルモクタール(Mokhtar Belmokhtar)と共に、ティンブクツ(Timbuktu・kmzファイルはこちら)からかつての盟邦を追い出しました。街の住民は女性はベールを被り、ズボンをはくことを禁じられたと言いました。

 マリ北部での戦いはアザワッド国家解放運動(the Azawad National Liberation Movement: MNLA)が1月中旬に始めました。この運動は蝶ネクタイ型の国の北の三角形で、祖国のために独立を望んでいます。イスラム主義者のアンサー・ダイン(Ansar Dine)は大半がイスラム教徒でありながら非宗教の国でシャリア法を守らせたいと望んでいます。アンサー・ダインは、1990年代と2007年9月のトゥアレグ族の反乱で重要な役割を演じ、AQIMとのつながりを発展させたリャド・アグ・ガレイ(Iyad Ag Ghaly)の指揮下にあります。ガレイと彼の戦士たちは街を占領し、そこに住んでいたMNLAの人々を追い払い、MNLAの旗を燃やし、軍基地に自分たちの旗をあげたと、事件を撮影したカメラマン、ムサ・ハイダラ(Moussa Haidara)は言いました。

 フランス政府は火曜日に、トゥアレグ族の反乱軍は、兵士が基地を放棄したのを見た人たちパニック状態で逃げたモプティ(Mopti・kmzファイルはこちら)に接近していると言いました。アンリ・デ・レインコート外務大臣(Henri de Raincourt)は反乱軍が接近していることを示す情報があります」と言い、反乱軍がモプティ周辺にいることを確認しました。200,000人以上の人たちが戦いによって家を追われ、支援グループは内戦と干ばつの組み合わせが大陸で最悪の人道的緊急事態を招く恐れがあると警告しました。

 2,000人の地域の軍隊が警戒態勢に置かれた後、西アフリカ圏も軍を警戒態勢に置きました。マリの暫定軍事政権は月曜日遅くに、地域の通商停止に気がついたと言いました。クーデターの指導者アマドウ・サノゴ大尉(Captain Amadou Sanogo)は声明の中で、暫定軍事政権は、危機を脱する解決策を見つけるために調停……の意向のままですが、その最優先事項は北部の危機に直面した国土の完全性の回復のままだとつけ加えました。

 暫定軍事政権は国の憲法を復活させた一方で、新しい選挙の代役を務めないと約束し、ECOWASの指導者は納得せず、彼らが承認されている合憲の権威に権力を引き渡すよう要請しました。


 住民のコメントなどは省略しました。

 マリの情勢は詳しく検討する必要があり、いまは時間がありません。あとで別の記事も掲載したいのです。

 情勢は不透明で、この記事を読むだけでも、ひどく迷走していることが分かります。暫定軍事政権を制裁するとイスラム武装勢力がさらに力を増すかも知れません。

 しかし、さらに気になるのはマリが置かれた地理的な情勢です。マリはこれまでイスラム主義が広まったとされた地域の西側に位置していて、大西洋への出口に近い場所にあります。国の中心部を北東から南西へ流れる河川地帯を辿り、首都のバマコからギニアへ抜けられます。Google Earthでマリの地勢を確認してみてください。これで一気に北アフリカにイスラム主義が台頭しそうに見えます。

 一方で、これを理由に新生の米軍アフリカ軍が勢力を増すことになるかも知れません。そのために危機が大げさに叫ばれる危険もあります。ここしばらくはマリに関係する情報に注目して、マリやその他の国の動きを把握しなくてはいけないと感じています。



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