新型ミサイルよりも疑問の無人飛翔体

2012.4.25


 聯合ニュースによると、ドイツの北朝鮮ミサイル専門家、マルクス・シラー博士とローベルト・シュマッカー博士は北朝鮮が軍事パレードで示した新型ミサイルを模型と断言しました。

 両博士の意見には疑問もあります。該当部分を引用します。

北朝鮮が公開した移動式ミサイルは、大きさやデザインから固体燃料を使用するロケットのように見える。だが、ミサイルには液体燃料用のバルブを示す丸い表示がある。固体燃料を使うはずのミサイルに液体燃料の注入口があるのは、矛盾と言うしかない。

 北朝鮮が弾道ミサイルで主に固体燃料を使う機種を製造したことはありません。北朝鮮がすぐに発射できる固体燃料ロケットで攻撃できるとすれば、日本に対する脅威は大変なものですし、韓国やアメリカの反応は現在のレベルでは済まなくなります。また、新型ミサイルはノドンBの形状に似ているように思われます。全長と直径の比率がかなりノドンBに近く、ほ乳瓶型の外観も共通しています。新型ミサイルはこのミサイルの改良型のようにも見えます。このミサイルは液体燃料と考えられていますから、私には液体燃料のバルブがあってもおかしくはないと思えます。両博士が何を根拠に固体燃料ロケットと断定したのかは、私には分かりません。

 しかし、その他の主張は、確認できない部分もあるものの、特におかしいと感じる点はなく、私も新型ミサイルは張りぼてだと信じています。ロケット工学の常識から見て、量産できるまでに完成したロケットエンジンを開発するのは大変なことであり、資金の乏しい北朝鮮に次々と新型ミサイルを開発するのは無理だからです。冷戦時代にソ連が同じ張りぼてミサイルで西側を動揺させたことがあるのを真似ていると考えるべきです。

 FNNの映像を見ると、宇垣大成氏が本物の弾道ミサイルだと発言していますが、その根拠は特に示されていません。5,000〜6,000km以上という射程は、単にミサイルの大きさから推測しているだけでしょう。燃焼剤のタンクの大きさを過去のロケットと比較すれば、大体の射程は推測できます。ちなみに、ノドンBの射程は3,000〜4,000kmとされています。弾道ミサイルの射程は簡単に水増しでき、確認できないという性質があります。確証が持てない数字は信じないことです。  

 しかし、このニュース映像でさらに気になるのは、新型無人飛翔体と呼ばれる兵器です。

写真は右クリックで拡大できます。

 この兵器こそ張りぼてではないでしょうか?。機首のレーダードームと思われる部分の表面はガタガタです。これは高速で飛行する機体には気流の流れを乱すので、不利になることです。しかも、機体本体と別部品のはずなのに、単に色を塗り分けただけのようにも見えます。しかも、胴体下部には妙な出っ張りがあります。これが何のために存在するのかが分かりません。エンジンの空気取り込み口としても大きすぎますし、発進する際にプラットフォームに引っかかりそうです。この機体は仮に飛んだとしても、あまり早く飛べそうにありません。機体は翼と後部がトラックから大きくはみ出し、輸送中に機体を何かにぶつけそうです。機体は目立つスカイブルーに塗られ、輸送中にどうやってカモフラージュするのかは不明です。機体側面にはオレンジ色の棒みたいなものが取り付けられていて、ここに爆弾を取り付けられると言いたげですが、私は信じる気になれません。

 それから、チャールズ・ビッグ氏のテポドン2号のレポートについてお知らせしておきます。現在、情報の精査中とのことで、アップロードにはまだ数日かかりそうです。もう少しお待ちください。



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