米軍が問題写真の公表を遅らせる

2012.4.20


 military.comによれば、レオン・パネッタ国防長官(Defense Secretary Leon Panetta)は、ロサンゼルスタイムズが報じた、死体の傍でポーズを取る米兵の写真を公開することを止めようとしたと言いました。

 軍当局者は同紙が入手した18枚中の2枚の写真を公開すれば暴力事件が起きることを恐れ、アフガニスタンで追加の警備態勢が敷かれるまで待って欲しいと要請し、同紙は合意しました。タイムズは72時間以上待ちました。

 匿名の兵士から入手した18枚の写真は、2010年にザブル州(Zabul province)で、第82空挺師団第4旅団戦闘団の兵士が撮影しました。

 「私たちはこれをとても慎重に検討しました」と編集者のデヴァン・マハラージ(Davan Maharaj)は読者とのウェブチャットで言いました。「結局のところ、私たちの仕事は読者が詳細な情報を得た説明を受けた上での判断をするのに必要な情報を発表することです」「綿脚たちは、アフガンでのアメリカの任務をすべての面から、積極的、公正に報道する特定の義務があります」「結局、この事件では、私たちは公共の利益は限定的ながらも、これらの写真の代表的なサンプルに彼らが連れて行かれた状況の説明を添える事で守られると考えました」。

 写真を提供した兵士は、写真の中のすべての男たちは自家製爆弾と自爆攻撃で全員が死ぬか負傷したと言いました。「彼らは仲間がIEDで吹き飛ばされて不満を溜め込み、怒っていました」「だから、彼らは単にお祝いをしたのです」。


 これが日本なら政府の圧力で写真をもみ消したところかも知れませんが、米軍は合理的な理由を示して、公開を待ってもらったことで、民主主義下での軍隊としての体面を保った形です。

 しかし、当サイトではこの種の事件を繰り返し紹介してきました。米兵の間で気味の悪い武装勢力の死体写真が撮影され、彼らが写真を回覧して遊んでいることは、特に目新しくないことです。それはより不気味な写真を撮った兵士が高いポイントを獲得するゲームみたいなものです。若い兵士たちはアフガンでの戦いの政治的な意味など考えてはいません。海外での軍の任務の実態とは、こんなものなのです。

 そう言えば,自衛隊が派遣されている南スーダンに対して、スーダンのバシル大統領が攻撃を示唆しています。スーダンから分離独立したばかりの南スーダンは依然としてきな臭い場所に過ぎません。そこに自衛隊を派遣した意図が私には納得がいきません。実際に戦闘になるようなら、自衛隊は成果を上げる前に撤退する他ありません。



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