コーラン投棄事件でデモ隊に死者

2012.2.23


 military.comによれば、コーラン破棄事件は収まらず、2日目の抗議デモでアフガニスタン警察が群衆に発砲し、少なくとも3人が死亡しました。

 死亡事件は首都カブールとロンガル州(Logar)とパルワン州(Parwan)で起きました。様々な抗議での負傷者は30人以上とされます。首都その他の都市での集会で少なくとも17人が負傷しました。カブールで警察は郊外の外国人居住区と米軍基地の外に集まった群衆の頭上に発砲しました。近くで怒り狂った群衆が幹線道路上で燃料トラックを燃やしました。怒った群衆は「アメリカに死を」と叫び、外国人業者、警察官、一部の同盟軍が住む住宅の外で石を投げ、火を燃やしました。

 保健省はカブールで少なくとも11人が銃で負傷したと言いました。東部ジャララバード(Jalalabad)の暴動では最低6人が負傷しました。カブールの集会は暴力へ変わり、数百人の警官が現場へ増強されました。カブールの病院の医師は少なくとも10人の抗議者が銃で負傷して病院へ運ばれたと言いました。数マイル離れた米軍のキャンプ・フェニックス基地(Camp Phoenix)の外にも数百人が集まり、施設に石を投げました。ここでも群衆の上に銃が撃たれました。カブール大学の近くでは100人を越える平和的なデモがありました。

 ジャララバードでは、別々の抗議で数千人がデモを行いました。空港にある米軍基地には1,000人が集まりました。街では6人が負傷し、建物が沢山燃やされました。

 military.comによると、ISAFは宗教的な資材の取り扱いについて訓練を行います。

 ISAFの広報官、カーステン・ジェーコブソン准将(Brig. Gen. Carsten Jacobson)は、国防総省の記者に衛星回線を通じ、月曜日の事件はアフガンで重大な結果をもたらし、彼は殺された人たちを悼むと言いました。「我々は起きたことの重大さ、この事件の重大さをはっきりと理解しています」。

 ISAF指揮官、ジョン・アレン海兵大将(Marine Gen. John Allen)は、アフガン国内にいる全軍に3月3日までに「宗教的資材の適切な取り扱い」について追加訓練を受けるよう命じました。

 ジェーコブソン准将は、アフガン拘留者が互いにメッセージを渡すためにコーランに書き込みをしているとか、一部の資材は急進的なメッセージが書き込まれたために引き揚げて破壊するよう命じられたという報道を確認しませんでした。拘留施設の警備員がアフガン人がコーランに書き込みをするのを見て、手書きのメッセージを発見し、それらを捨てるように命じた可能性はあります。これが拘留施設で収容者が意思疎通をするのを防ぐための標準的な慣例であるなら、コーランなどの資材が以前に破壊された可能性はあるものの、ジェーコブソン准将は明確には知らないと言いました。


 コーランの取り扱いを間違えるとは、まったく何年対テロ戦争をやっているのだと言いたくなります。

 そして、すでに同時多発テロをよく知らない世代が米軍の隊員になる時代でもあります。事件を知らない若者にとって、何が問題なのかは正確に分からないでしょう。要するに悪者たちをやっつければよいのだと単純に思い込んでいる者もいることでしょう。米軍に入ったのは給料をもらうためで、戦争が政治の延長であることすら理解しない隊員が増えれば、もう戦争は続けられません。時期的にも対テロ戦は限界に来ているように思われます。今後は一部の専門部隊が対応する形になる地合が整いつつあるように思われます。

 コーランの書き込みは初めて報じられたと思います。実態が気になります。CNNの記事ではアレン大将はそれを否定し、単なるミスで事件が起きたと言っているようです。


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