司法省が防衛結婚法を憲法違反と結論

2012.2.20


 military.comによれば、米司法省は軍隊で同性の夫婦が結婚するための権利と恩典を拡張することを目的として起こされた訴訟で、国防総省復員軍人援護局を弁護しません。

 エリック・ホールダー司法長官(Attorney General Eric Holder)は金曜日にジョン・ジョン・ベイナー下院議長(House Speaker Rep. John Boehner)に書簡で、司法省は防衛結婚法に異議を申し立てる訴訟で弁護しないことを伝えました。防衛結婚法は結婚を男性1人と女性1人の結合と明確に定義する連邦法で、現在、同性愛の隊員の配偶者がヘテロセクシャルの隊員のそれと同じ恩典を受け取ることを妨げています。これには医療、歯科医療、住宅の基本手当、家族分離給付金、軍の身分証、埋葬給付金を含みます。

 オバマ政権は昨年、訴訟から防衛結婚法を弁護することを止めると言いましたが、この決定は軍隊や退役軍人援護局に拡大されませんでした。書簡の中でホールダー長官は、防衛結婚法は州法の下で合法的に結婚した同性の夫婦に適用するために定められており、憲法修正条項第5条の平等保障に違反したと決定したと言いました。「防衛結婚法の立法上の記録は、退役軍人の恩典を同性の夫婦に提供するための論拠を持ちませんが、合法的に結婚した退役軍人の同性配偶者に対しては持っています」「国防総省も復員軍人援護局も、防衛結婚法第3項とは異なり、これらの条項を扱うことを正当化する区別について、いかなる正当性も確認しませんでした」「私は司法省の法務官に平等保護に関する訴訟に対して、これらの条項を弁護しないように命じました」。

 元陸軍で「the Servicemembers Legal Defense Network: SLDN」の事務局長、オーブリー・サルビス(Aubrey Sarvis)は、ホールダーの決定に満足したと言いました。「はじめて、我々もそれを喜びました。彼は退役軍人に適用される単独の定義が憲法違反だと言いました」。SLDNは10月にマサチューセッツ州で現役と退役軍人の代理で訴訟を起こしました。1ヶ月後にSLDNは、同性の結婚した夫婦は法の下で同等に扱われていないという重要な事実は係争中ではないと主張して、政府に対して略式判決を求めました。2日後、リチャード・スターンズ地裁判事(District Court Judge Richard Stearns)は政府が対応する時間を与えるために、60日間の猶予を与えました。SLDNの公報、ジーク・ストークス(Zeke Stokes)は60日間の猶予がまだ有効なので、何も変わらないと言いました。

 先週、州軍の上級准尉が防衛結婚法に反対する意見を述べるためにベイナー下院議長の援助を受けました。ベイナー議長への手紙の中で、チャーリー・モーガン4等上級准尉(CW2 Charlie Morgan)は、二度目の乳がんと闘っていると言いました。加えて、異性の配偶者が受けられる通常の医療、旅行・輸送手当、軍の購買部での買い物、その他の恩典を受け取っていません。モーガンは彼女が死んだ時に、彼女の妻が遺族給付金を受け取ることを防衛結婚法が妨げるだろうと言いました。ストークスは、ベイナー下院議長が、差別的な法律の影響を受ける多くの軍人家族を代表するチャーリー・モーガン4等上級准尉の訴えを聞いて、この訴訟に反対しないことを望むと言いました。


 前に、米軍の同性愛差別撤廃は完全なものではないけども、すぐに問題点が浮上してきて、さらなる改正につながっていくと書きました。そういう動きが出てきたようです。

 司法省の決定は、軍と復員軍人援護局に対するさらなる訴訟を誘発し、それは必ず制度改革へつながっていきます。それが米軍の文化にどのような影響を与えるかが問題です。それは将来の世界にも影響を与えるようなものかも知れません。これは発端です。今後の動きがとても気になります。


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