米陸軍が無許可離隊で誤認逮捕

2012.2.12
追加 2012.2.14 16:35


 military.comによれば、無許可離隊で退役軍人のルーイ・カストロ(Louie Castro・28歳)が誤認逮捕されました。陸軍は彼が9年前に除隊した時に管理上のミスがあったようだと言いました。

 カルルスは古い書類仕事を復活させるために、勤務したことがないフォート・カーソン基地へ飛ばなければならないと言われました。彼は予定通りには卒業できない見込みです。

 カストロの弁護士は彼が政府に対して訴訟を起こすと考えています。彼はフォート・カーソン基地当局者との会話で、多くの他の者たちが同類の容疑で逮捕され、軍の人事将校の間違いのため、潜在的にフォート・フッド基地に勤務したことがある大勢の元兵士が 彼らの政府書類の中で時限爆弾が動いていることに気がついていないことを示されたと言いました。「私たちはより多くの元兵士が誤って軍に拘束されているか、拘束後に釈放されていると考えます」とカストロの民間弁護士、ジョナサン・クリスプ(Jonathan Crisp)は言い、無許可離隊を逮捕する担当官、民間の連絡官、部隊事務官から、この問題がしばらくの間あったという情報を得ていると付け加えました。

 カストロは2001年2月に陸軍に、彼が17歳の時に入隊し、彼の軍歴には問題はありませんでした。彼は2001年7月に無許可離隊をして、フロリダの生家へ戻りました。彼は最近、陸軍で惨めな思いをして、母親とヘロイン中毒で入院した父親が経済的に困窮したためにフォート・フッド基地を去ったと言いました。カストロは1年以上経って交通取締中に逮捕され、フォート・フッド基地へ手錠をかけられて送られました。彼は師団指揮官、レイモンド・オディエルノ少将(Maj. Gen. Raymond T. Odierno)が軍事裁判を受けずに除隊するカストロの要請を承認するまで、事件を起こすことなく勤務しました。2002年12月4日、オディエルノ少将はカストロが非名誉除隊(other-than-honorable discharge)とされ、5勤務日以内に陸軍から分離されると命じました。部隊の軍曹が装備と軍服を返却する場所へ彼を連れて行き、移行支援と彼に残された恩典について説明を受け、医療施設で検診を受け、中隊長に提出する署名をしました。「私は彼に必要な最後のことは離隊の書類に署名することでした」「中隊長はそれに署名し、これが私に必要な最後のことですかと尋ね、彼はそうだと答えました」。彼は荷物を詰めると、フロリダ行きのグレイハウンドバスに乗りました。

 オディエルノ少将の命令を含む分厚い書類と除隊のプロセスの書面は「現役からの解放・除隊証明」の「DD-214」書面を含まなかったと彼は言いました。「私はそれを郵便で受け取ったかも知れません」「(重要な)恩典は取り去られたので、私は私が軍隊にいたことを他人に証明する必要はないと分かっていました」。

 9年間が過ぎ、カストロは人生を変えました。彼が働くタラハシーのベーグルショップの店長は彼を「私の最高の従業員……根っからの店長」と呼びます。彼が宗教を選考し、平均点3.5を取るフロリダ州大学の教授の一人は彼を「公正で……優れた生徒」と呼びました。別の教授は「賢く、親切、有望、啓示的」と考えると言いました。

 12月、カストロはフランスで英語を教えているガールフレンド、レーン・タークル(Lane Turkle)に会いに行くためにヨーロッパに行きました。1月2日にアメリカに戻った時、税関士が陸軍の逮捕状を見つけました。加重暴行のような重罪の者たちと共に「私はマイアミの拘置所で3晩過ごしました」。彼はピネラス郡(Pinellas County)に行く途中で2ヶ所以上の拘置所で時を過ごしました。陸軍の逮捕状に加え、カストロは2005年の「たむろ」に関する罰金がありました。彼が裁判所に行き、それを支払った後で、彼は拘置所に戻され、陸軍の拘禁のために4日間独房に入れられました。彼は1日に2回独房を出て、電話をしてシャワーを浴びることが許されました。

 彼の母親がフォート・スチュワート基地(Fort Stewart)のラリー・カージー大尉(Capt. Larry Kersey)に連絡し、彼がタンパの空港に行き、そこで航空券を受け取り、直ちにフォート・カーソン基地に行くという条件で、カストロが拘置所から釈放されるよう手配しました。「これは君の軍歴を消す最後の時です。もし君が報告しないと、別の逮捕状が出るでしょう」とカージー大尉は彼に言いました。しかし、彼が空港に到着した時、航空会社の社員は彼のための予約や航空券を見つけることができませんでした。自分で航空券を買えず、再び逮捕されることを恐れ、カストロはカージー大尉に電話メッセージを残し、フォート・カーソン基地の法廷弁護サービスを探し、最終的に元法務部長で今はペンシルバニア州で開業しているクリスプ弁護士を見つけました。

 陸軍の内部文書によれば、2002年に戻って、カストロの部隊が単に彼を最期の命令とDD-214を受け取るべきフォート・フッド基地の事務所へ連れて行かなかったことには若干の疑いが残ります。フォート・フッド基地の民間人材資源管理者、マイケル・レドウィン(Michael Redwine)は1月30日に、何年経とうがカストロの書類仕事を終わらせるにはフォート・カーソン基地に行くしか方法はないと言いました。

 クリスプ弁護士の目標は、カストロがコロラド州に行かずに陸軍に逮捕状を取り消させ、彼の記録を修正させ、DD-214を発行させることです。さらに、クリスプ弁護士とカストロは政府に損害賠償の請求ができます。兵士は陸軍を告訴できないという「フェレス・ドクトリン(Feres doctrine)」はありますが、クリスプ弁護士はカストロが兵士ではない点を指摘します。

 自身を未だにキリスト教の教えに従う仏教徒と称するカストロは、恐ろしい時の間にも関わらず、試練の間に精神を通じて平和を見出し、他の収容者に基本的な瞑想技術さえ教えたと言いました。「私には本当にまいった時がありました。拘置所で私は涙の夜を過ごしましたが……私は楽観視しようと務めました」「何か悪いことをしたと分かっているのならともかく、私は何もしていないことをよく理解していました」「私はすでに私が子供だった時にやった間違いを償っていることを知っていました。私はすでに改心したのも同じでした」。


 どうやら、とんでもない勘違いが起きたようです。「DD-214」は日本ではあまり知られていない書面ですが、米軍人が現役を離れたことを証明する書類です(Wikipediaの説明はこちら)。それが何らかの理由で発行されなかったために、カストロは無許可離隊を続けていることになったのです。こうした書面上のトラブルは過去にも当サイトで色々と紹介してきました。

 無許可離隊は勝手に勤務を離れることですが、脱走罪と違い、軍隊に復帰する意志がある場合に適用されます。過去にも説明しているとおり、軍を離れた時点から罪に問われ、その期間の長短は関係がありません。通常、離隊して1ヶ月を過ぎた時点で捜査が始まるため、1ヶ月以上部隊を離れると脱走罪で、それ以下の期間だと無許可離隊と説明している文章がありますが、これは誤りです。

 カストロの体験は他人が聞くと馬鹿馬鹿しいほどですが、本人にとっては深刻なものです。軍隊は巨大な官僚機構であり、この種の間違いは色々な形で起こります。

 多分、クリスプ弁護士が言うように、必要な記録の修正は陸軍がやるべきで、本人が行く必要はないでしょう。そのために裁判を起こさなければなりません。裁判でもカストロの主張が通ると想像します。


Copyright 2006 Akishige Tanaka all rights reserved.