ダマスカスで市街戦が始まっている可能性

2012.12.8


 BBCによれば、シリアの反政府派は、ダマスカス空港の奪取を狙っています。

 反政府派広報は、空港はシリア軍が使っており、それは民間人が回避すべきだと言います。数週間、ゴウタ(Ghouta)として知られるダマスカス周辺で激戦がありました。過去2週間、繰り返し、空港にアクセスできず、民間のフライトは欠航になりました。

 反政府派ダマスカス軍事評議会のナビル・アル・アミール(Nabil al-Amir)は、戦いが空港で続いているため、空港には自らの責任で近づくよう警告しています。「空港を包囲した反政府派の旅団は、昨日、空港が手に入る見込みがある目標であると決めました」と彼は言いました。「空港はいま、武装した車両と兵士で一杯です」。

 シリア軍は首都南西部郊外の2ヶ所を増強し、地上戦の危機が高まっていると、人権活動家は言いました。シリア軍は反政府派が中心部を支配しているダレイヤ(Darayya・kmzファイルはこちら)の郊外を一日中砲撃したと、BBCのジェレミー・ボウエン(Jeremy Bowen)はダマスカスから報告しました。ロケットと砲弾が、メッツエ軍用空港に近い、ダラヤとムアドハミヤ(Muadhamiya)に撃ち込まれました。反政府派は首都中心部へ前進しようとし、政府軍は領域を再獲得する作戦を開始しました。

 人権団体「The Syrian Observatory for Human Rights」は、兵士たちはロケットと迫撃砲で、ダマスカスの郊外へ進出する意図を秘匿しようとしていると言いました。住民は爆撃の後に反政府派の陣地に対して、地上軍の侵攻があると信じていると、彼らは付け加えました。シリア軍は、まだしも支配している首都8km以内の領域を再獲得するための反撃を開始したとされます。


 記事は一部を紹介しました。

 この記事を読むと、予想以上に反政府派の進撃が進んでいるように思われます。政府軍が首都8km以内に押し込められているというのが本当なら、これは衝撃的な話です。首都近くの戦闘なのに、政府軍が空港を包囲した反政府軍を打破できないのなら、すでに政府軍に勝機はありません。これはやはり、政府軍からの離反が相当な数になり、反政府派軍が強力な戦力となっていることを考えざるを得ません。ここ数日の内に、政府軍が反政府派の包囲網の一部でも突破できないようなら、そもそも、政府軍に戦える力があるのかすら疑問です。彼らは国民を標的にしていること、戦いが長期にわたり、未来への希望が持てないなどの理由で、士気を喪失している可能性があります。

 当初、アレッポを占領した反政府軍が、ホムスを占領し、ダマスカスへ進撃することを予測していましたが、先にダマスカスで政府軍の崩壊が始まったのです。これまでの予測は修正する必要がありそうです。来年の春くらいまでには終わると考えていたのですが、下手すると、1月中に決着を見るかも知れません。もちろん、情報が少ないので、この修正予測は誤っている可能性もありますが、かなり有望とも思っています。



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