各国がシリアから要員を引き揚げ中

2012.12.4


 BBCによれば、シリア政府が化学兵器を使うことを恐れ、各国は自国の人員をシリアから引き揚げています。

 国連は不可欠ではないスタッフ全員をシリアから引き揚げているところで、100人のスタッフ中25人が今週出国するかも知れないと、国連は言いました。ダマスカス郊外の人権活動はしばらく停止します。シリアの国連安全顧問のサビル・ムグハル(Sabir Mughal)は「状況はかなり変わっています」「無差別の銃撃や派閥間の衝突の結果として、人道主義者へのリスクが増加しています」。BBCは欧州連合も外交官と外国人要員を引き揚げていると考えています。

 米国務省公報、ジェイ・カーニー(Jay Carney)は、ワシントンが非常事態計画を作成していると言いました。彼はその詳細は言いませんでしたが、ヒラリー・クリントン国務長官が以前に出した警告と同じことを言いました。クリントン国務長官は、化学兵器の使用は「アメリカのレッドライン」で「不測の事態が起きれば、我々は間違いなく行動を起こすことになっています」「もう一度、我々は彼らの行為が非難に値すると、強い警告をアサド政権へ出します。自国民に対する彼らの行為は悲惨なものでした」と、チェコでの記者会見で言いました。


 記事は気になるところだけを紹介しました。

 こういう状況証拠的な変化からも、事態が緊迫してきたことが窺い知れます。

 化学兵器はかつて内乱の鎮圧に使われた事例があることから、アメリカが強く懸念しているところです。化学兵器が使用された段階で、NATO軍と共同して具体的な行動を起こすべきと考えるのは当然ですし、それをアサド政権に警告しておくのも当然のことです。大量破壊兵器は報復が予測される場合には使われないという考え方があるからです。

 私は最早、化学兵器を使ったところで、反政府派の攻勢は防げない状況に来ていると考えます。シリア政府が冷静なら、化学兵器は使われないし、その余地も十分にあると考えます。



Copyright 2006 Akishige Tanaka all rights reserved.