シリア反政府派が首都に向けてさらに前進

2012.12.19


 BBCによれば、シリアの反政府派はハルファヤ(Halfaya・kmzファイルはこちら)を占領して解放地区を宣言し、ダルア(Deraa・kmzファイルはこちら)近くの第34旅団を攻撃し、多数の戦車を奪うなど、新しい戦果をあげました。

 ダマスカスのパレスチナ難民キャンプ2ヶ所で反政府派と政府派のパレスチナグループの間で戦闘がありました。ワエル・アル・ハルキ首相(Prime minister Wael al-Khalqi)がアレッポを訪問し、住民に更なる支援を約束しました。街の半分は反政府派が支配しています。

 ダマスカスの南端で、隣接するヤルモク(Yarmouk)とパレスチン(Palestine)の両パレスチナ難民キャンプで、政府派のパレスチナ解放人民戦線総司令部派(Popular Front for the Liberation of Palestine-General Command)の戦闘員を追い出しました。


 記事は一部を紹介しました。他にロシア人が人質になった健も書いてありますが、戦況全般についてのみ解説します。

 ハルファヤは、位置を確認してもらえば分かるように、ハマ市のすぐ北にあります。ハマ市の南にはホムス市があります。以前に書いたように、ホムスが陥落するようなら、政府軍はもうダメです。その一歩手前まで来ていることが、この記事で確認されたのです。

 ダルアはヨルダンから来る道路が通る街で、ここが反政府派の手に落ちたということは、政府軍は南からも攻められる可能性が出てきたということです。ヨルダンは中立をとりたがるかも知れませんが、一定の物資の通過には目をつぶる可能性があります。

 先にユーフラテス川沿いのベルト地帯の陥落が伝えられています。ここはイラクに接しています。

 これだけ防衛網に穴が空くと、もはやどうしようもありません。あと数ヶ月で内戦に決着がつくと考えることが可能な段階に来たということです。

 ダマスカス郊外にも反政府派は迫っていますから、政府軍の対応次第ではもっと早くに結果が出るかも知れません。情報が少なすぎるので、これ以上の想像は控えるべきでしょう。


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