化学兵器使用の恐れは低下も弾道ミサイル発射

2012.12.13


 military.comによれば、レオン・パネッタ国防長官(Defense Secretary Leon Panetta)が、シリア政府が反政府派に対して化学兵器を使う準備は遅れているように見えると言いました。

 ワシントンからクウェートに向かう飛行機の中で、パネッタ長官は記者に、シリア軍の準備については何も言わなかったものの、脅威はもはや増大していないと言いました。「この時点で、情報は本当に横ばいになっています」「我々はその方向へ向けたどんな攻撃的な手順を示す新しい徴候を何も見ていません」。

 シリアのアサド大統領が化学兵器を使うことに関する西欧の警告に注意していると考えるかと尋ねられ、パネッタ長官は「私は彼がメッセージを受け取ったと信じたい。我々はそれを極めて明確にしました。他の者たちは同様にそうしました」と言いました。彼はアサド政権が反政府軍から増加する圧力を受けていることを指摘しました。「我々の懸念は、体制が崩壊すると感じるなら、彼らがこの種の兵器に訴えるかもしれないということです。

 BBCによれば、シリア軍は反政府派に向けてスカッド型のミサイルを発射しました。

 アメリカとNATO当局者は、短距離の、非誘導型の弾道ミサイルが発射されたと言いました。米国務省はタイプは未確認ながら、ミサイルが展開され、さらに暴力的な兵器へ手を出そうとしていると言いました。化学兵器が使われた徴候はありませんでした。弾道と飛んだ距離から、これらはスカッドミサイルだったとみられます。米国務省のビクトリア・ヌーランド広報官(Victoria Nuland)は、正確なミサイルの情報についてはコメントしようとしませんが、「我々はここ数日でミサイルが配置されたのを見ています」と言いました。彼女は、幹線に無差別のナパームのような爆弾も見たと言いました。「政権が一層絶望的になったため、我々は体制がより致死的で、より暴力的な武器を前へ出すのを見ています」。


 記事は一部を紹介しました。

 北朝鮮のロケット打ち上げのために、シリア情勢に関する論評が遅れました。

 スカッドミサイルを出してきたということは、シリア軍に通常の爆弾や樽爆弾の在庫が切れかけていることを示します。さらに追い詰められたシリア政府が化学兵器を使わないようにすることが、国際社会の仕事であり、パネッタ長官がやっているのは、そのための舌戦です。報復手段を持っている相手には、大量破壊兵器は使われないというのが軍事の常識です。国際社会がシリア軍が化学兵器を使うことを許さないというメッセージを送り続けることで、使用を思い止まらせることができるかも知れません。

 シリア軍が化学兵器を持っているとすれば、それを搭載するための弾道ミサイルも大量に持っているはずです。それを示すためにアサド政権が弾道ミサイルを用いたということも考えられます。

 化学兵器を用いたところで、ごく一部の人たちを殺傷するだけで、反政府派の攻撃を止めることはできません。効果的に使いたいのなら、反政府派が首都中心部に迫った時です。国際社会が恐れているような、住民に対する散布は在庫を無駄にすることもあり、行わないと、私は考えます。

 一方で、アサド大統領に、亡命するのなら安全を保証するという交渉が水面下で行われていると思われます。たとえば、ロシアの保証なら、アサド大統領も安心できるでしょう。まったく表に出てこないアサド大統領の心理状態は不明のままです。

 多分、NATO軍は化学兵器を移動させる活動が確認された段階で、化学兵器基地を空爆する計画を立てているはずです。大半の化学兵器基地を破壊したら、トルコ軍が地上軍として北部から南下し、残存するシリア軍に止めを刺す可能性もあります。こうした作戦に関連する具体的な動きは、まったく表面に出ていませんが、常に検討されているはずです。

 北朝鮮のロケット打ち上げについては、様々な情報を検討中です。少し情報を吟味してから論評したいと思います。韓国筋は攪乱作戦にやられたといい、肝心の弾道に関する情報がほとんどありません。唯一、韓国軍が1段機体の残骸を見つけた点が喜ばしいだけです。



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