トルコ=シリア国境に米・蘭軍が集結

2012.12.10


 military.comによれば、金曜日に、追い詰められたアサド大統領が化学兵器を使うことを恐れ、約400人のNATO軍(米軍とオランダ軍)がトルコとシリアの国境に集結しました。

 NATO軍がペイトリオットミサイルMIM-104をトルコに配置することで合意してから3日後に、兵士たちはトルコ国境に集結し、ペイトリオットミサイルを準備していました。トルコ政府は化学兵器を搭載したミサイル攻撃への備えとして、装備を要請していました。「誰にもアサド政権に何ができるかは分かりませんし、それが我々がここで防御的に活動している理由です」と、ドイツのグイド・ウェスターウェル外務大臣(Foreign Minister Guido Westerwelle)は言いました。アメリカのレオン・パネッタ国防長官(Defense Secretary Leon Panetta)は木曜日に、最新の情報はアサドが化学兵器を反政府派に対して使う恐れを高めたと言いました。「我々が得ている情報は、それが検討されているという深刻な懸念を引き起こします」。40年間にわたり、シリアはマスタードガス、サリン神経ガス、シアン化合物を含めた、未申告の世界で最大の化学物質を貯蔵してきました。

 シリアはNATO軍の行動と米軍とドイツの声明を非難しました。シリアのファイサル・ミクダッド副外務大臣(Deputy Foreign Minister Faisal Miqdad)は、アサドを支持し、ヒズボラ傘下のレバノンの衛星テレビ、アル・マナル(al-Manar)で、「シリアは再び、10回、100回でも、もし我々がそうした(化学)兵器を持っていても、それは国民に対しては使わないと強く主張します。我々は自殺はしません」と言いました。ミクダッド大臣はアメリカと反政府派支持のヨーロッパ諸国を、干渉を正当化するために、アサド政権が化学兵器を使うという印象を創り出そうと共謀していると非難しました。

 ヒラリー・クリントン国務長官(Secretary of State Hillary Clinton)は、ロシアのセルゲイ・ラブロフ外務大臣(Foreign Minister Sergey Lavrov)とアラブ連盟特使、ラハダル・ブラヒミ(Lakhdar Brahimi)との予想外の会談をしました。

 米国務省は、ブラヒミ特使が40分間の会議と呼んだものは、政治的移行を実際にどう支援するかに集中した建設的な議論だったと言いました。ブラヒミ特使は会議後、彼の目標は、アメリカとロシアが6月にジュネーブで作業した政治的移行戦略に基づいた和平プロセスをまとめることだと言いました。当時、当局はこの戦略は強制的な問題についてはすぐに取り消されたと言いました。「我々は驚かせるような決定は何もしませんでした」とブラヒミ特使は言いました。彼はシリアの状況を「とても、とても、とても悪い」と呼びました。クリントン国務長官は会議前に「我々はシリアでの流血を止め、アサド後のシリアの未来のための政治的移行を始めるため、ロシアと大変な作業をしてきました」と言いました。「シリアで起きていることは加速していて、私たちはそれを違ったやり方で見ています」。

 シリア反政府派の地域調整委員会は、木曜日にシリアで少なくとも89人が殺されたと言いました。シリア軍は、多くはダマスカス郊外で、少なくとも248ヶ所を砲撃し、13ヶ所を空爆しました。2ヶ所はクラスター爆弾で、4ヶ所は樽爆弾でした。樽爆弾はTNT爆薬、石油、鉄の塊を詰めた石油のドラム缶で、ヘリコプターから投下します。

 airforce-technology.comによれば、NATO軍が派遣するのはドイツ軍とオランダ軍で、両者の間を米軍が埋めることになっています。


 記事は一部を紹介しました。

 NATO軍はドイツとオランダがペイトリオットミサイルPAC-3を提供することに決めました。まず、オランダ軍が到着したわけです。ドイツ軍もすぐに配置を完了することでしょう。

 それよりも気になるのは、ロシアとアメリカがシリア問題で会談を行ったことです。これは、いよいよロシアがアサドの亡命を助け、存在感を見せる時が来たのかと思わせられます。それが話し合われたかどうかは分からないものの、期待したくなります。アサドの亡命により、政府軍は降伏し、反政府派は人道的な扱いを約束して、降伏を受け入れることになります。例外的に、拷問を担っていた一部の部隊の者たちは許されないでしょう。 とにかく、内戦はそれで終結し、これ以上の被害は避けられることになるのです。



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