反政府派がタフタナズ基地を攻撃

2012.11.4


 BBCによれば、シリアの反政府派はタフタナズ基地(Taftanaz base・kmzファイルはこちら)を攻撃しました。

 反政府派は主要な空軍基地を支配するために、政府軍との激しい戦いに釘付けとなっていると言います。インターネットに投稿された映像は、戦闘員が戦略的に重要なタフタナズ基地を攻撃していることを示しました。この基地はアレッポとダマスカスの間にあります。

 タフタナズ基地への攻撃は夜明けと共に始まり、異なる5部隊が多連装ロケットランチャー、迫撃砲とその他の武器を発砲しました。人権活動家は、戦闘は夜も続いたと言いましたが、国営メディアは、政府軍が突撃を撃退し、大勢の反政府派が殺され、彼らの車両が破壊されたと言いました。

 基地の近くにいるデイリー・テレグラフ紙のリチャード・スペンサー(Richard Spencer)は、攻撃は反政府派の戦術の変化を示すと言います。「彼らはアレッポやダマスカスのような大都市で、政権を損耗させることで、非常にゆっくりとした進展しかなく、そのために補給線を攻撃しはじめました」「反政府派は武器が不足しています。彼らはカラシニコフ小銃を持ち、RPGを持っています。彼らはいま、少数の携帯型ミサイルを持つと考えられていますが、それは戦車、特に飛行中のヘリコプター、ミグ戦闘機には大いに役に立つということではありません」。ここ数ヶ月、政府軍は、反政府派が確保した地域を攻撃するために空軍力の行使を強めていました。彼らには攻撃を阻止するための対空兵器がありませんでした。

 反政府軍はアレッポ南西部のほとんどの主要道路を支配したと報告されます。ビデオ映像は反政府グループに自由シリア軍のいくつかの旅団だけでなく、急進派のアル・ヌスラ戦線(al-Nusra Front)を含むことを示しました。


 日曜日ですが、重要な記事が出ました。その記事からタフタナズの戦闘に関する部分だけを紹介しました。

 タフタナズ基地は、街の南にあるヘリコプター基地のことだと思われます。その位置はサラケブの北で、アレッポとマアッラト・アン・ヌウマーンの中間地点、裏街道にあたります。

 反政府派はここを包囲攻撃したということは、最近まで、ここは政府軍の拠点として機能していたということです。この基地は、南方からアレッポに至る幹線道路を見張る役目も果たせます。ヘリポートは頑丈すぎて破壊できないので、レーダー施設や燃料施設を破壊することで、この基地の機能をほぼ麻痺させられます。映像では、基地へ突入する姿は見られないので、周辺から砲撃を行ったということでしょう。これなら、まだこの基地は政府軍の手にあると思われます。しかし、政府軍が周辺から反政府派を追い払うことができないのなら、こうした攻撃は続き、実質的に、この基地は使えないということになります。さらに遠方の基地からヘリコプターを飛ばさないと、幹線道路は監視できません。つまり、反政府派は、かなり移動が自由になるということです。

 さらに、アレッポの南西部の道路を反政府派が支配したということは、アレッポから南へ向かう幹線道路を手に入れたも同じです。サラケブの検問所も攻撃し、マアッラト・アン・ヌウマーンの軍基地も攻撃していることから、この辺に関しては、反政府派の 支配権がかなり堅固になったことを意味します。

 スペンサー記者の、反政府派が都市での戦いよりも、補給路の攻撃へ戦術を変更したという見解は、むしろ控えめで、政府軍が北部地域を包囲しつつあると考えた方があたってる感じがします。そう判断するには、さらに情報を見る必要はありますが。私はこの見方は当たっていると考えています。この後、イドリブ市から政府軍が撤退するようなことがあれば、この観測が裏づけられます。

 内乱自体は、結末はまだ遠そうです。ハマー市とホムス市が陥落すれば、さすがにアサド政権は崩壊するかも知れませんが、そうなるには冬を越すでしょう。その前に、アサド政権が諦めてくれることを祈るしかありません。



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