サラケブで反政府兵士が民兵を虐殺か

2012.11.3


 BBCが、シリアの反政府派による戦争犯罪について報じました。

 ビデオ映像は銃を持った男が、床に屈んだ男を殴り、銃撃する様子を映しています。この映像は木曜日に軍の検問所を奪取した後に、イスラム武装勢力が行ったといわれています。

 未確認の報告は、政府軍がサラケブ(Saraqeb・kmzファイルはこちら)のすべての基地から撤退したといいます。

 政府軍は木曜日シリア全土で空襲を続けました。

 「the Syrian Observatory for Human Rights」は、木曜日に150人が死亡したと言いました。死者は70人が政府軍兵士、43人が民間人、38人が反政府派兵士でした。この主張は独自に確認されていません。

 ビデオ映像は興奮した反政府派が、奪取した建物の中で、政府派民兵「シャビア(shabiha)」を蹴ったり、押したりしているところを示すように見えます。それから屈んでいる者たちは発砲を受けます。

 国連人権担当高等弁務官、ルパート・コルヴィル(Rupert Colville)は、犠牲者はすでに戦闘員ではなく、この時点で、これはほぼ戦争犯罪に見えます」と言いました。ビデオが本物と証明されれば、将来基礎が行われるのは確実だと、彼は付け加えました。人権団体、アムネスティは声明で以下のように述べました。「この衝撃的な映像は、戦争犯罪が進行中である可能性と、問題になっている武装グループによって国際人道法がまったく無視されていることを示します」。今のところ、殺害容疑を行ったことを認めるグループはありません。しかし、イデリブ州(Idlib province)の反政府派戦士、アブ・アブドル・ラヒム(Abu Abdul Rahim)はガーディアン紙に、サラフィ聖戦団(Salafi-jihadist group)が、サラケブの西にあるアル・ネラブ(al-Nayrab)で起きた殺害を行ったと言いました。彼はサラフィ聖戦団とダウード旅団(the Dawood brigade)、スクル・アル・シャム(Suqur al-Sham)は、自由シリア軍に所属するどの軍評議会にも応じないと言いました。

 何ヶ月間も、人権活動家は類似する政府軍による殺害を実質的に毎日報告してきました。多くは虐待などを禁止する規則に署名したにも関わらず、一部の反政府派グループにより、同様の戦術が使われていた証拠があがっていると、BBCのジム・ミュアー(Jim Muir)は言います。ヒラリー・クリントン国務長官(Secretary of State Hillary Clinton)は先に、急進的なイスラム主義戦士がシリア革命を乗っ取ろうとしていると警告しました。


 記事は一部だけを紹介しました。

 BBCの元記事に映像が掲示されているので、リンクをクリックして確認してください。映像はおそらく編集してあって、元々の映像には発砲する瞬間も映っていたのだと想像します。BBCが放送する上で削除した可能性があります。

 こうした虐待が政府軍と反政府派の両方で行われていることは、当サイトでも紹介してきました。比較的統制が取れているのは自由シリア軍で、彼らの多くは虐待をしないよう努めています。これは内乱が終了した後で、国際社会と協調していく上で、国際人道法(ジュネーブ条約)を守ることが必要と感じているからでしょう。

 それにしても、こういう映像が行われてからすぐに公表されたことに驚きました。投稿した者は国際法よりも、勝利を宣伝することに興味があったようです。

 しかし、皮肉な話ですが、こういう行為が公表されれば、イスラム過激派が内乱が終わるとシリアを離れる可能性が高くなります。姿を消さないと、新生シリア政府に捕まる恐れがあるからです。

 諸外国は、こうしたことを考えながら、自由シリア軍との関係を調整していくことになります。さて、日本の外務省には、そういうノウハウはあるのでしょうか?。私は外務省が、戦争に関する基本的な知識を身につけた上で安全保障政策を考えているとは思いません。単に外務省的常識だけで動いているように見えます。シリア内乱は日本の国益に大きく関係しなくても、我々に身近な問題で適切な行動を取れるのでしょうか?。そして、政治家たちは外務省をしっかりと活用して、日本の平和を守れるのでしょうか?。



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