空母先進国アメリカが見る中国の空母開発

2012.11.27

 military.comの中のdefensetechが、中国が航空母艦に殲-15をはじめて着艦させた件について、コメントを掲載しました。

 見方は2つあります。これは環太平洋地域での脅威が本当で、国防予算がそれに従って調整される必要があり、それは地上戦から古き良き海戦へ焦点が戻ることを意味すると言うことができるかも知れません。あるいは、中国人がなしたことのすべては、イギリス人が1945年12月3日に成功した、ジェット機を空母に着陸させたことだけかも知れません。

 現代では、3〜4日間、24時間ぶっ通しで1サイクルで35機の武装した航空機が離着艦します。さらに、担当地域の1〜2隻の空母が加わって、航空部隊を互いにうまく動かそうとします。

 経済状況が違うとはいえ、旧ソ連の海軍が90年代末に通常の空母作戦を採用するためにすべてを試みたことを忘れないでください。彼らの努力の最終純利益は、発艦は難しく見える上に、やるのはもっと難しい、という基本的な理解でした。結局、彼らは空母1隻をもう1つの国、中国に売却しました。


 尖閣諸島の危機を言いたい人たちは、この着艦実験を取り上げて、「だから中国が攻めてくる」と言いたがるでしょう。外務省は「だからオスプレイが日本に必要だ」と言いたがるでしょう。

 しかし、空母作戦は着艦に成功したから実現できるというものではなく、作戦運用のノウハウまでを蓄積しなければ実現しないものなのです。つまり、索敵のやり方、艦隊の陣形、航空部隊の運用、その他の問題をすべて解決しないと、空母を戦いに出すことはできないわけです。ロシア海軍が持つ航空母艦(分類上は巡洋艦)は、現在は1隻です。さて、中国は空母の実用化に成功するのでしょうか?。これがこのコラムの主張です。

 空母で中国が尖閣諸島を取りに来るのなら、オスプレイが何機あっても意味はありません。戦闘機に狙われたオスプレイは逃げる術も、防戦する術も持ちません。地上軍を投入する必要すらないのに、なぜ輸送機が役に立つのか、私には理解ができません。

 昨日、たまたま聴いたTBSラジオの「Dig」という番組では、拓殖大学海外事情研究所教授の川上高司氏が、集団自衛権に関して、無茶な主張を展開していました。

 たとえば、国連活動中の自衛隊が、近くにいる他の軍が攻撃されている時、集団的自衛権が認められていなければ助けることができないのでは、他国から信頼されないと、川上氏は主張します。これは誤りで、自分の位置から見える範囲で友軍が攻撃されている場合、集団的自衛権を持ち出さなくても、危機を排除する行動をとることは許されているのです。

 問題は、集団的自衛権は国家同士の戦争のような、負荷の高い銭湯活動も全部承認してしまうということです。つまり、目の前の危機を排除するのと、前もって予兆があり、その結果として起きる戦争に参加するのとは、話がまるで違うということです。

 分かりやすい例で説明します。映画「バトルシップ」では、米海軍と合同演習中の自衛艦が、エイリアンの宇宙船に遭遇し、両者は力を合わせてエイリアンと戦います。これは集団的自衛権の行使かというと、そうではありません。危機を排除するための行動と解するべきなのです。

 日本上空を飛び越えて、アメリカへ飛んでいく弾道ミサイルを迎撃しないと、アメリカは日本を信頼しなくなり、日米同盟が崩壊するとも、川上氏は主張しました。これはあり得ません。たとえば、北朝鮮がアメリカにミサイルを撃てば、それは日本上空を飛び越えてはいきません。サンフランシスコを狙う弾道も、ワシントンを狙う弾道も、日本ではなく、中国とロシアの上空を飛んでいきます。随分前に指摘したことですが、globalsecurity.orgのサイトに、その証拠が掲載されています(こちらをクリック)。上から2番目がサンフランシスコ、3番目がワシントンを狙う弾道です。また、「上空」と言っても、高度100kmも越えていれば、そこは宇宙空間で「日本上空」とは言いがたいのです。それでも、弾道ミサイルを攻撃しろという意味が分かりません。まして、日米間にはそのような取り決めが一つもないのです。約束を破ったわけではないのに、アメリカが怒り出して、日米同盟を破棄するなんて考えられません。

 私は唖然としました。川上氏の経歴を見ると、大変なキャリアを持っていることが分かります。しかし、その主張は不合理すぎます。



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