元CIA長官がリビア襲撃はテロ攻撃と証言

2012.11.17

 military.comによれば、デビット・ペトラエス元CIA長官(David Petraeus)が、非公開の聴聞会で、リビアの米領事館襲撃はテロリストの攻撃だったとずっと信じていると言いました。

 下院と上院の情報委員会で退役大将は、質問がオバマ政権が9月11日の攻撃の直後に何を知っていたか、なぜ公式見解が情報当局の評価を一致しなかったのかについて続いたため意見を述べました。

 議員たちは、ペトラエスがベンガジの外交拠点への襲撃に対して書かれたCIAの初稿がテロ攻撃と呼んだと証言したと言いました。この部分は最終版から取り除かれたと言いましたが、彼はどの連邦機関が参照部分を削除したのか確信がありませんでした。

 ペトラエスは、襲撃に対応して書かれたCIAの報告の初稿は、武装グループのアンスール・アル・シャリア(Ansar al-Shariah)とイスラム・マグレブのアルカイダ(al-Qaida in the Islamic Maghreb)に触れていました。しかし、この名前は最終版で「過激派」に置き換えられた述べたと、議会職員は言いました。ペトラエスが、彼は、早く報告を受け取るために、他の部局に、彼らが適当と思う通りに論点を変えることを許可したと証言しました。議会職員は聴聞会について公に語る権限がなく、匿名でAP通信に話しました。

 マーク・ユードル上院議員(Sen. Mark Udall)は、ペトラエスがCIAの初稿の論点は他の情報部局といくつかの連邦機関に送られたと述べたと言いました。ユードル上院議員は最終版の報告書は、ペトラエスを含めた、報告書に署名した部局高官に提出されたと言いました。

 議員たちは木曜日に、情報、国家安全保障当局の高官に質問するのに時間を使い、情報と右翼が襲撃の前後に何を知っていたのかを特定しようとしました。彼らは、事件が起きているときの領事館の監視カメラの映像、CIAの非武装型プレデターの偵察映像を見ました。

 議会職員はAP通信に、YouTubeにアップロードされた、クリス・スティーブンス大使(Ambassador Chris Stevens)が彼を助けようとしているように見える人びとによって過去ばれている、携帯電話の映像も見たと言いました。


 記事は一部を紹介しました。

 なんでペトラエスという人は、最後まで格好悪いのかという気がしました。この人は黙って政界から消えることができないのでしょうか?。まるで退任の腹いせを晴らすかのように、オバマ大統領にとって厄介な問題の種をまいていったのです。共和党の大統領候補に名前が出たこともあると言いますが、こんな人が大統領になっても、リーダーシップを発揮できるとは思えません。

 この問題はすでに政局の材料と化しています。問題は、イスラム世界を怒らせたビデオを制作した者たちであるのに、領事館警備の問題にすり替えられています。前にも書きましたが、どの国の領事館・大使館も、まったく歓迎されない国に置くことはできません。外交使節を守るのは、第一に、それらが置かれている国の治安機関なのです。いくら警備員を置いたところで、要塞化しない限りはRPGで攻撃されても大丈夫とはなりません。第一に、アメリカが外交施設を置く国から信頼されていることが重要です。

 議員たちが見た携帯で撮影されたスティーブンス大使の映像は、多分、これでしょう。(不快な内容を含んでいるので、見たくない方は再生しないでください)

 CNNの鮮明な映像です。目撃者のファヘッド・アル・バクシ(Fahed al-Bakush)がスティーブンス大使が救出される様子を語ります。彼は男性は運転手か警備員で、大使とは思わなかったと述べています。目が動いていたので、彼は男性が生きていると考えました。

 この映像はスチール写真集で、スティーブンス大使が写っています。この写真で見る限り、大使はすでに死亡しています。息をしているようには見えません。

 スティーブンス大使を治療したジアド・ブザイド医者(Dr Ziad Buzaid )のインタビュー映像です。病院に到着した時に、すでに大使は死亡していました。医師は45分間、窒息の場合の応急措置と心肺蘇生を試みたこと。大使に打撲傷や傷はなかったことなどが語られています。

 これらの映像を見ても、スティーブンス大使が狙い撃ちされたという感じはしません。領事館を攻撃した結果として、大使が死亡したということです。しかも、これらの映像で確認できるのは、暴徒となったリビア人が大使をさらに傷つけようとせず、自分たちで病院に運んだことです。映像には、救急車で運ばれたのではなく、民間の車で運ばれたという説明があります。領事館に突入し、略奪をした人びとも、殺意までは持たず、負傷者を救護しようという意志があったことが確認されたのです。これは一つの救いでしょう。

 事件直後から、パレッタ国防長官とペトレアスCIA長官(当時)は、CIAの中に、関与したテロ組織の名前を挙げる者がいることは公言していました。具体的に政府内部にいた者から名前が出たのは初めてですが、CIAがそう見ていることは報じられていました。その点では、目新しい情報ではありません。大使が死んだことばかりが大きく取り上げられ、テロ組織が暗殺を試みたかのような話になっている点が、ワシントンらしいと言えます。


Copyright 2006 Akishige Tanaka all rights reserved.