シリア政府系民兵が反政府派に装備を転売

2012.11.1


 military.comによれば、シリアの反政府派はシリア政府のエージェントから銃と弾薬を買うために大金を払っています。

 反政府派にとって、武器の購入は常に問題です。重火器を供給しないことに対する西欧への怒りから、彼らはアサドの金庫に頼らざるを得ないと言います。

 徴兵制が義務の国、兄弟が相対する側と軍を離反した反政府派と戦う紛争では、助けてくれる仲介人と旧友を見つけるのは難しいと言います。

 「私たちは、アサドのスパイと市場で買います」と、アレッポの基地として使う運動場で、アブ・マハル少佐(Major Abu Mahar)は言いました。

 彼は、政府軍に対する特別任務を行う200人を指揮すると主張します。しかし、他の部隊と同じく、彼らは僅かな機関銃、RPG、狙撃銃、手製のロケット、爆弾しか持っていません。

 この夏に空軍を離反した彼は、他の反政府派と同じく、政府軍と治安機関の様々なる部署と関係を持っています。マハル少佐は政権から弾丸は110シリアポンド(1.6ドル)で買いますが、市場では2ドルだと言います。彼は市場がどこにあるかは言いませんでした。
 
 彼のグループの弾薬補給のほとんどは、政府が雇った政府派民兵「シャビハ(shabiha)」から来ていると言います。「我々はダブルエージェントから弾薬を買います。シャビハの神は金です。彼らはそれしか眼中にありません。金さえ払えば、彼らは母親も売るでしょう」「彼らは軍と警察、情報機関の弾薬庫にアクセできます。彼らは政権が倒れた時に備えて、金を貯めています」。

 アブ・マハルは取引をする場所や方法については口を濁しました。彼は代理人や旧友を使い、顔は合わせないと言います。反政府派は敵に資金を提供することには、特に、西欧が重火器を提供せず、リビアみたいな飛行禁止区域が期待できない時には寛大です。「彼らはすでに過去40年、我々の金や心を奪ってきました。そうすることに、どんな違いがありますか?」。

 自由シリア軍、タヒッド旅団(Tawhid Brigade)の指揮官、ヨセフ・アブド(Yussef Abud)にとって、政府の弾薬を買ったのは1、2度だけと言いながらも、弾薬は生き残りに関わる問題です。「私に何ができます?。時には、十分な武器や弾薬がありません。好きではありませんが、こうした弾薬や武器がなければ、多くの自由シリア軍は殺されたでしょう」

 反政府派は戦場で殺した兵士からも銃を手に入れます。政権から離反した者たちは、それらをこっそり持ち出します。アレッポの古いスポーツ施設で、49歳のモハメッド・アブ・イザム・アル・ハラビ(Mohammed Abu Issam al-Halabi)は、8ヶ月前にムジャヘディンになると決心した時に、政権内の悪党から1,000ドルで自分のカラシニコフ小銃を買ったと言います。「市場じゃ買えないし、私は武器を必要としていました。仕方ないでしょう?」

 元工場長は、内乱の前は、銃の費用は200〜300ドルだったと言いました。

 24歳のアハメド・サディーン中尉(Lieutenant Ahmed Saadeen)は、政権から武器を買うことは正しいと同意します。多くの反政府派と同じく、彼は西欧と湾岸諸国がシリアの反政府派に対戦車・対空兵器を提供しないことに立腹しています。


 重要部分のみ紹介しましたが、とても興味深い記事です。どこの世界にも裏切り者はいるものですが、それがシリアではかなり広範に行われているようです。

 装備品の横流しは米軍でも聞くことがあります。また、イスラム国では、こうした不正が横行していることを考えると、初めて聞く話とはいえません。

 民兵が精々このレベルであることが分かる記事です。正規軍も同じだと、シリア政府にとって深刻な状況です。大きな部隊の離反は報じられていませんが、あるいは、シリア政府が外国のマスコミに分からないようにしているだけかも知れません。

 それから、反政府派が対空兵器を手に入れたという話が、すでに報じられているのに、それを否定する反政府派がいるということです。対空兵器は提供されているものの、数が少ないのかも知れません。政府軍から奪った兵器だけでは、インターネットに投稿された、政府軍機が撃墜される映像の説明はつかないでしょう。

 マハル少佐は多分、空軍情報部のメンバーだったのでしょう。それで、反政府派に転じても、特殊任務を請け負っているのです。だから、政府を混乱させる謀略の一環で偽情報を流している可能性もありますが、私はこの情報は信頼できると感じています。



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