巨額賄賂で元陸軍少佐が有罪判決

2012.1.9


 military.comによれば、アラバマ州は元米陸軍少佐エディー・プレスレイ(Eddie Pressley)に収賄とマネーロンダリングにより禁固12年を宣告しました。

 41歳のプレスレイは陸軍で契約調達将校として勤務した間に、リベートと引き替えに政府契約を特定の請負業者に与えたことで有罪判決を下されました。彼は2,100万ドルの罰金が科され、不動産と数台の車が没収されます。「約300万ドルを受け取り、彼自分の妻に賄賂性を隠蔽することを手伝わせ、陰謀を進めるために偽文書を作らせました」とラニー・ブリューア副司法長官(Assistant US Attorney General Lanny Breuer)は言いました。

 プレスレイは司法省が調査を進めている、クウェートの米軍基地、アリフヤン基地(Camp Arifjan)に集中する汚職事件の17人の被告の一人です。プレスレイと妻のユーリカ(Eurica)は2011年3月1日の裁判で有罪判決を受けました。罪名は収賄1件、収賄の共同謀議1件、正当業務詐欺8件、マネーロンダリングの共同謀議1件、犯罪の収益を用いた金融取引11件です。ユーリカの判決日はまだ未定です。

 2004〜2005年に陸軍はプレスレイにアリフヤン基地で補給品契約を与える許可を与え、彼は「Freedom Consulting」「Catering Co.」「Total Government Allegiance」を含むいくつもの請負企業から秘密の業務利益を受け取りました。160万ドル以上の賄賂を払ったことを認めたテリー・ホール(Terry Hall)は、裁判で彼に不利な証言をすることに同意しました。ホールは、ボトル詰めの水とフェンスの材料を米軍に納入するのと引き替えに、プレスレイは偽の会社「EGP Business Solutions Inc.」に賄賂を振り込むよう要求したと言いました。ユーリカは送金された金を受け取って、隠すために、ドバイとケイマン諸島に別の銀行口座を開くことを助けました。プレスレイは不明瞭なコンサルトサービスの請求書を書くことで、賄賂をさらに隠しました。


 あまり日本では報じられない米軍内での汚職事件を紹介します。

 今日の為替レートで見ても、総額約2億3,000万円の賄賂です。これが2年間に支払われたのです。戦時中には、これだけの賄賂を払っても儲けが出るようなビッグビジネスが米軍周辺では起こるわけです。

 しかも、今回大きな賄賂を生んだのは、だたのボトル水でした。意外なようでも、海外の戦地ではボトル入りの水が大量に必要です。清潔な飲料水は伝染病の発生を低減する最も重要な要素です。現地の水を消毒しながら使うよりは、ボトル入りの水を買った方が安全です。よって、軍は大量の飲料水を購入し、その金額は膨大なものになるというわけです。このように生活に不可欠の物資は、重要度が高いためにチェックが甘くなるという特質があります。戦時に汚職が蔓延しがちなのは、戦争という最も緊急性の高い問題の前では、誰もが普段よりは注意力が落ちるためです。調達契約のチェックは甘くなり、それに気がついたものが犯罪を思いつきます。戦地の兵士に物資を届けるのが最優先のために、他のことは見過ごされるのです。

 軍隊だけでなく、医療業界でも製薬会社の営業は病院で決裁権を持つ医師に猛烈な接待攻勢をかけることで有名です。こうした不要な費用が医療費を高額にする一つの理由なのに、消費税を上げるという議論が出る現在すら、誰もこの悪習を止めようとしません。つまり、「患者に優良な医療サービスを提供する」という美名の下に、チェックが甘くなっているわけです。

 軍を英雄視する日本の変な軍事メディアによって、こうした事件はほとんど報じられませんが、実際、米軍は不祥事だらけです。海軍では指揮官が行動上の問題で頻繁に解任され、士官学校では強姦事件、調達担当将校は賄賂事件が起きています。純粋な軍事マニアを失望させるかも知れませんが、これは軍隊の一つの側面なのです。

 愛国心という言葉だけでは説明できない問題です。日本では国旗や国歌の問題がやかましく言われますが、当サイトではそうした問題は解くに扱っていません。国旗を掲げるかや国歌を歌うかは個人の内心の問題であり、戦争が引き起こす問題はそんな好みの問題を越えて、もっと重大だと考えるからです。旗や歌の徹底で防衛力を強くできると考える人がいたら、ナイーブすぎるとしか言いようがありません。



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