放尿事件の衝撃が広がる

2012.1.13


 military.comによれば、レオン・パネッタ国防長官(Defense Secretary Leon Panetta)は海兵隊員4人がアフガニスタンで3体の死体に放尿するように見えるビデオを非難し、最大限の責任を取らせると言いました。

 パネッタ長官は海兵隊とアフガンのNATO軍指揮官、ジョン・アレン海兵大将(Marine Gen. John Allen)にビデオを調査するように命じました。「私は映像を見て、その中に描かれた行為がまったく嘆かわしいことに気がつきました。私は最も強い言葉でそれを非難します」「この行為は米軍のメンバーとしてまったく不適切で、我が軍が維持すると誓った基準や価値観を反映しません」。

 パネッタ長官の声明はハミド・カルザイ大統領(President Hamid Karzai)のビデオの中の行動は「完全に冷酷」で「衝撃的」と表現した非難コメントのあとに続きました。カルザイ大統領は電話でパネッタ長官とビデオについて話し、処罰を要請しました。

 ジェームス・エイモス海兵大将(Gen. James Amos)もビデオを見て、同様の非難をしました。「私は、ビデオの中で描写された行為は、歴史の中で示してきた高い基準および戦士の精神とまったく矛盾することを、明白で疑わしくないようにします」「海兵隊の機関はこの申し立てとそれらを取り囲む出来事が解決するまで休むことはありません」。

 タリバンは声明を出して、海兵隊員の行為を非難しましたが、この事件はカタールでまもなく行われる和平会談を妨げないと言いました。(関連記事はこちら

 ISAFはビデオの中の個人は、すでにアフガンで軍務に就いていないようだと言いました。ISAFは海兵隊が個人を特定していないのに、どのようにしてその結論に達したのかは説明しませんでした。「この無礼な行為は不可解で、我々が同盟軍に期待する高い倫理基準に合っていません」とISAFは声明の中で言いました。

 海兵隊当局は、ビデオのキャプションにある第2海兵連隊第3大隊は9月にアフガン派遣から戻ったと言いました。

 ビデオの公表は、オバマ政権がタリバンに和平会談と停戦の仲介のためにカタールに事務所を開くように求めている、特に微妙な時期に来ました。

 上院軍事委員会の主要メンバー、ジョン・マケイン上院議員(Sen. John McCain)は、テレビ番組「CBS This Morning」の中で、海兵隊のイメージが少数の規律が乱れた者たちによって傷つけられたと言いました。「調査が行われ、こうした若者は処罰されなければなりません」とマケインは言いました。

 この記事とは別に、ワシントン・ポストが、海兵隊当局は、調査官がビデオの中にいたと事前に確認した2人の個人に尋問をしていると言っていると報じました。海兵隊は4人全員が第2海兵連隊第3大隊のメンバーであることを確信していると、調査が進行中のために匿名を希望した当局者は言いました。

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 ハディーサ事件を報じない国内メディアが、死体に放尿した米兵の事件は報じていることは驚きです。どちらの事件の問題が大きいかと言えば、当然24人の民間人が殺されたハディーサ事件のはずですが、映像的に面白い放尿事件は取り上げやすいというわけです。こういう傾向はこの事件以上に嘆かわしいと、私は感じます。

 アメリカのメディアは身内の恥として、かなり大きく取り上げていますが、一緒にハディーサ事件やウィキリークスの漏洩事件についても報じています。

 カルザイ大統領やタリバンが声明を出したように、この事件はオバマ政権の外交に大きな障害となります。よって、犯人たちの罪は普通よりも重たくなります。また、パネッタ国防長官は、オバマ大統領が彼をCIA長官に任命した理由が、タリバンやアルカイダの容疑者への拷問を嫌っていることでしたから、死体への冒涜に対して厳しい態度を取ることは明白です。

 さらに言うなら、ビデオに写っている死体が本当にタリバンなのか,民間人なのかについても、調査の中で自然に明らかになるでしょう。交戦規定に合致して殺害した者なのか、あるいはビデオに写っている者とは違う者が殺したのかも、明らかにされます。狙撃チームが射殺したのなら、報告書が出ているはずですから、それらを元に現場近くにいた関係者への尋問が行われます。

 テロとの戦いと言っても、精々がこの程度ということは、我が国の政治家にもう少しよく理解して欲しい事実です。



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