カダフィ大佐をリビア国内で発見?

2011.9.8


 カダフィ大佐の居場所について、興味深い記事が出てきました。この記事は長文で、時間があればあとで全体の要旨をまとめたいと思いますが、まずカダフィ大佐の居場所に関する点を取り上げます。

 BBCによれば、リビアの元反政府派(すでに反政府派は暫定的にリビア政府となったので、BBCはこう呼称しています)の広報官、アニス・シャリフ(Anis Sharif)は、カダフィ大佐が見つかった場所は言えないものの、依然としてリビアにおり、ハイテクノロジーと人的情報能力により追跡されてきたと言いました。カダフィ大佐は反政府派に囲まれた半径40マイル(60km)の地域に閉じ込められています。「彼は出られません」とシャリフ報道官は言い、元反政府派は彼を拘束するか殺す準備をしていると付け加えました。

 米国務省広報官、ビクトリア・ヌーランド(Victoria Nuland)は「我々はカダフィがどこにいるかの証拠は何も持ちませんが、現時点ではリビアにいます」と言いました。


 本当に半径60kmの圏内と特定できたのかは疑問です。また、これだけの地域を完全に封鎖することはできず、大佐を逃がすことはないと断言することはできそうにないと、私は感じました。別の記事では大佐がニジェール国境から北に300kmの「Ghwat(正確な位置は不明)」にいたとも書かれています。

 シャリフ氏の発言からすると、カダフィ大佐は通信傍受と地元住民の通報により位置が確認されたと推測されます。先に、米当局者がカダフィ大佐が亡命の準備をしていると言っていましたが、これは通信を傍受した結果でしょう。カダフィ大佐は逃亡しながら音声メッセージを放送局に送り続けていました。大佐が電話を使うと探知される恐れがありますから、そうした可能性は低いでしょう。演説を録音して誰かが別の場所へ運んで送信したのかも知れません。しかし、何からの通信手段を使ったのかも知れませんし、側近たちの通話が探知されたのかも知れません。それと地元民の目撃情報から居場所を絞り込んだと考えてよいでしょう。

 ヌーランド広報官の発言は、これが言葉のあやでなければ、アメリカがカダフィ大佐の居場所を突き止めたように聞こえます。居場所が分からないのに、リビア国内にいると断言したところが気になります。 居場所が分からないのなら、出国した可能性もあるわけですから。

 そうだとしても、暫定政権の影響力が薄い南部で、半径60kmに大佐を囲い込んだという話は、どうも合点がいきません。周りに反政府派はいるのかも知れませんが、この地域を完全に封鎖するのは無理でしょう。悪路を果敢に突破して逃げる方法があります。

 これは暫定政権がカダフィ大佐を脅かして、隠れ家から移動させるための偽情報かも知れません。どれが真相かは分かりませんが、いまは幅を持って考えるべきです。



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