パキスタン情報部が米大使館攻撃を支援

2011.9.24


 military.comによれば、統合参謀本部議長マイク・マレン大将(Adm. Mike Mullen)が、先日のアフガニスタンで77人の米兵を負傷させた米大使館に対する攻撃を支援したとして、パキスタンの情報部を非難しました。

 マレン大将は来週退役する前に、最後の議会証言において、ハッカニ・武装勢力ネットワーク(the Haqqani insurgent network)がパキスタンの中央情報局(Inter-Services Intelligence agency)の本当の力として活動していると示唆しました。

 パキしタンは「暴力を輸出」して、アフガンのどんな成功も脅かしていると、マレン大将は言いました。「武装勢力の方針に凶暴な過激主義を使うことを選択することで、パキスタン政府、大半は特にパキスタン陸軍とISIは我々の戦略的な協力だけでなく、パキスタンの合理的に地域に影響力がある尊敬される国になる機会も危うくしています」「彼らはこうした代理者を用い、彼らの掛け金のリスクを回避したり、地域的な力における不均衡と感じているものを低減しています。しかし、現実には、彼らはすでに掛け金を失いました」。

 ISIの支援を受けて、ハッカニの工作員はトラックへの爆弾攻撃、我々の大使館への攻撃を計画し、実行しました」とマレン大将は上院軍事委員会で言いました。彼は、アメリカはハッカニの過激主義者がパキスタン情報部の6月28日のカブールのインター・コンチネンタル・ホテルへの攻撃とその他の小さいながらも効果的な攻撃を行ったという信頼できる情報を持っているとも言いました。

 この後、レオン・パネッタ国防大臣(Defense Secretary Leon Panetta)の証言も紹介されていますが、似たような内容で、マレン大将がいう証拠については書かれていません。

 military.comによれば、パキスタン軍のアシュファク・パルベズ・カヤニ大将(Gen. Ashfaq Parvez Kayani)は、このアメリカの主張には根拠がなく、アフガンで有害な非難合戦を招くと言いました。


 時間がないので、ごく一部だけ気を紹介しました。

 毎度の不思議なアメリカとパキスタンの非難合戦が繰り返されています。マレン大将は明確な証拠を例示しなかったので、何が発言の根拠かは不明です。ハッカニ・ネットワークが掛け金を失ったという点も、果たして事実かは疑問です。私には彼らは勢力を維持しているように思われます。しかし、ISIと武装勢力との結びつきはかねてから繰り返し指摘されていて、目新しくはありません。

 アフガンでの軍事活動が減っていくことは、パキスタンの重要性を減らし、エチオピアやセイシェルのようなアフリカ諸国の重要性を増やします。アフガンの治安を現地政府に任せるようになれば、パキスタンの武装勢力はインドに勢力を伸ばさない限りは、アメリカにとって優先度の低い脅威となるかも知れません。結局のところ、自国民が死なないのなら、アメリカにとってこれらの国はそれほど重要ではないという近視眼的な考え方があります。

 もともと、アフガンへの侵攻はイラク侵攻が批判され、その失敗が明確になった時に、ブッシュ政権が苦し紛れに断行しただけの話に過ぎません。アフガンの基地を維持するためにパキスタンの協力が必要になったのであり、元々、この国はアメリカからは独裁国家で、テロ組織にも近いと見られていました。しかし、アメリカの対テロ戦に協力することで、一気に協力国に躍り出ました。それだけの話です。アメリカにはハッカニ・ネットワークとISIの絆を断ち切る力はなく、非難を繰り返すだけです。

 今後、同じことがアフリカで繰り返されないかどうか注意することが重要です。

 今日はリビア内紛に関する新しい情報はありません。



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