シルトへ東部からも接近か?

2011.9.18


 BBCのアラステア・ライトヘッド記者(Alastair Leithead)は、シルト付近の暫定政権軍は彼らが街へ向かい約10km前進したと言いました。

 暫定政権軍が砲撃し、損耗させ、それから占領した強力な防御拠点があり、遅く、着実で慎重な進展があると、彼は言いました。

 暫定政権軍はまだ街の東の入り口からいくらかの距離がありますが、彼らは西と東の接近路からより近いようだと特派員は言います。降伏協定を交渉した後で、彼らがシルト(Sirte・kmzファイルはこちら)の東80kmにあるハラワ(Harawa・kmzファイルはこちら)の完全な支配権を得たという未確認の情報があります。

 シルトのすぐ外側で、何にかの負傷した兵士がガソリンスタンドで治療を受けており、1人の医師が土曜日に反政府軍3人が死亡したと言いました。国家暫定評議会のシルトの代表、ハッサン・ドウライ(Hassan Dourai)は「シルトには完全な支配はありません」と言いました。暫定政権軍指揮官、サレム・ジェハ(Salem Jeha)は「我々はいま、カダフィ軍が集中している街の中とワジ・アブ・ハジ(Wadi Abu Hadi)を含む郊外の少数の建物に集中しています」と言いました。彼は「(カダフィ軍に)抵抗を続ける可能性はありません」と言いました。

 カダフィの広報官、ムーサ・イブラヒム(Moussa Ibrahim)のコメントは戦況を考える上で必要がないので省略します。

 バニ・ワリド(Bani Walid)では金曜日に暫定政権軍6人が死亡し、20人が負傷しました。


 文脈からして、ライトヘッド記者は東から接近する暫定政権軍と共にいるようです。しかし、重要な前進がどこまで行っているのかをはっきりと書いていない点で、この記事には問題があります。

 東部側の暫定政権軍が西部と南部の友軍よりもシルトに近いのなら、80kmも離れたハラワはとうの昔に通り過ぎたことになります。負傷兵の治療が街のすぐ外で行われているのなら、東部からもすでにシルト市街に達していることになります。しかし、シルト東部は東西に長い田園地帯で、ここを市街地と呼んでいるかどうかで、話は随分と変わります。ワジ・アブ・ハジの位置も正確に分かりません。しかし、少数の建物にしかカダフィ軍がいないのなら、シルト戦は遠からず終わると言えそうです。

 やはり、報道記事には正確な位置情報を併記する必要があります。インターネット版の記事に、こうした情報を付加するのは難しくはありません。こうした提案を報道機関に対してやっていくべきかも知れません。



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