戦術無人機がC-130と空中衝突

2011.9.12


 遂に、起きるべき事件が起きていたことが分かりました。無人偵察機が友人の軍用機に衝突し、有人機が損傷を受けました。military.comによれば、ナイアガラ・フォール空軍予備役基地(the Niagara Falls Air Reserve Station)の軍用輸送機が先月、アフガニスタンで無人偵察機と衝突して損傷を受けました。

 米空軍の第914空輸隊に所属するC-130「ハーキュリーズ」輸送機は8月15日に無人機と衝突した後で緊急着陸を余儀なくされました。ニューヨーク州空軍の第107空輸隊から来た少なくとも2人を含む乗員は怪我を負いませんでした。「それは非常に希なことで…私は先には聞いたことがありませんでした」と、航空安全コンサルタントのキース・J・マッケイ(Keith J. Mackey)は言いました。「誰も傷つかず、疑いなく乗員は幸運でした。無人機がコックピットに衝突して、乗員を行動不能にしたら、(輸送)機を墜落させかねませんでした」。この事件は中東で軍が遠隔から操縦する機の運用を軍が増やしていることと、無人機がアメリカの空域で安全化に関する、さらなる議論に火をつけそうだと、マッケイは言いました。

 軍はナイアガラ・フォールの男女が搭乗してたかどうかについてはコメントを避けましたが、事件を知る3つの情報源は第107隊の乗員が搭乗していたと言いました。当局は事件について詳細を明らかにしませんでした。「事件はまだ原因を調査中で、それが完了するまで、私たちはあまり多くの詳細を公表するつもりはありません」とサウスカロライナのショー空軍基地(Shaw Air Bas)の空軍中央軍司令部のアマンダ・カリアー軍曹(Sgt. Amanda Currier )は言いました。最も重要なことは誰も怪我をしなかったということだとカリアー軍曹は言いました。遠隔操作のRQ-シャドー戦術航空機(RQ-Shadow tactical aircraft・Wikipediaの記事はこちら)C-130輸送機は東部アフガンで緊急着陸をしなければなりませんでした。カリアー軍曹は、輸送機のどの部分が無人偵察機と衝突し、どれくらいの損傷があったか、どのようにパイロットが怪我なく輸送機を着陸させられたかを特定することはできないと言いました。無人機は武器や爆薬をまったく持たない監視用の航空機であったと、カリアー軍曹は言いました。

 「現在、偵察やその他の目的のための無人機をアメリカの空域で用いることで議論があり、それは大きな論争です」と50年来のパイロットで68歳のマッケイは言います。彼は航空事故調査を行う「Mackey International of Ocala」を運営します。「無人機の運用は航空の新局面で、産みの苦しみがあります」。

 第914空輸隊の当局者は、無人機が衝突した時に第914隊の隊員が搭乗していなかったというだけで、災難についてコメントするのを拒否しました。損傷した輸送機は第914隊に所属しますが、その協力隊である第107空輸隊から来た乗員は頻繁に第914隊の航空機を使用すると、軍当局者は言いました。彼らは第914隊の航空機は国の他の地域から来た軍部隊の隊員が使っていたと付け加えました。

 州の軍事・海軍業務部の広報官、エリック・D・デュール(Eric D. Durr)は、「The Buffalo News」に質問された時、彼は第107空輸隊が輸送機に搭乗していたかをコメンできないと言いました。彼は質問を空軍当局に任せました。空軍もまた、ナイアガラ・フォール基地の隊員が機に乗っていたかを言うのを辞退しました。

 衝突した輸送機と無人機の間には大きなサイズの違いがあります。C-130は最も大きな軍用機の一つで、重量は最大175,000ポンド、全長は98フィート、翼長は133フィートです。RQシャドーは全長が12フィート、翼長は13フィート、高さは3フィート、重量は165ポンドです。空軍はC-130輸送機のコストは1,190万ドルから4,850万ドルの間だと言いました。アフガンで損傷を受けた航空機のコストは公表されませんでした。

 マッケイは、そうした衝突は「機械か人間によるエラー」が起こした可能性が高いと推測しました。


 軍が起こした事故なのに、概略の発表まで1ヶ月もかかったということは、この事件が起こした衝撃を物語ります。私はてっきり、秘密主義のCIAの無人機が衝突したのかと思いました。民間人を誤爆した場合、すばやく発表する米軍ですが、無人機となるとこの有様です。

 衝突した無人機はRQタイプで、いくつかの種類がありますが、どれかまでは公表されなかったようです。小型の無人機だったのが、大事故にならなかった理由です。

 無人機の中にはステルス機能を持つものもあり、こうした機体はレーダーに写りません。民間機が飛ぶような環境で運用する場合は、無人機側に管理責任があります。民間機のパイロットは無人機を目視できるまでに接近しない限り衝突を回避できません。また、無人機がどのようなコースを飛んでいるかも分からないことから、衝突の予測が難しいという問題もあるでしょう。



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