バニ・ワリドがまもなく陥落か?

2011.9.10


 BBCによれば、バニ・ワリド(Bani Walid)を包囲していた暫定政権軍は、カダフィ軍から攻撃を受けたとして、街に向けて進撃し、バニ・ワリドを占領する寸前であると言います。

 指揮官は、彼らが中心から離れた地域を掃討し、市中心部から2km以内にいると言いました。彼らは数時間で完全に支配することを望むと言いました。バニ・ワリドと他3つのカダフィ支持派に占領された街は、降伏するために土曜までの時間を与えられましたが、暫定政権軍は攻撃を受けたと言いました。激戦はシルト(Sirte)の近くでも報告されました。

 BBCのリチャード・ギャルピン記者(Richard Galpin)が、暫定政権軍がカダフィ軍からの攻撃に対応するしかなかったと言った状況を説明したと言います。彼らは目下のところすばやく前進しましたが、彼らはまだ犠牲者を最小限にしたいため、完全な軍事攻撃は行っていないと言いました。カダフィ軍兵士3人を含む4人がこれまでに死亡し、何人かが負傷したと言いました。

 特派員はカダフィ軍にプロの戦士がいることを特徴付ける白兵戦の報告があったと言いますが、暫定政権軍が接近すると一部は武器を捨てたという報告もあります。

 暫定政権の高官、アブドラ・カンシル(Abdallah Kanshil)は「(暫定政権の)戦闘員は狙撃兵と戦う町の北部にいます、我々は東部からも入りました」と言いました。早朝に、カダフィ軍が発射したグラート・ロケット(Grad missile)の集中砲火の報告がありました。

 バニ・ワリド、ユフラ(Jufra)、セブハ(Sabha)、シルトでは暫定政権が和平を協議しようとしていますが、マームド・ジブリール首相(Prime Minister Mahmoud Jibril)は攻撃を受ければ軍隊が応えるだろうと警告しました。

 シルトの近くで、暫定政権軍は弾薬の準備もしていました。街の約60km東にある、暫定政権が木曜日に占領したと発表したレッド・バレー地区(the Red Valley region)で激しい交戦がありました。BBCのポール・ウッド記者(Paul Wood)は、カダフィ軍から来たロケット砲と迫撃砲の砲火を目撃しました。彼は暫定政権軍が対空機銃を撃ち返しましたが、彼らはまだ街から遠くにいます。暫定政権軍は彼に、前進を続け、シルトは予定通りに陥落しないかも知れないけども、彼らはそれを確認していると言いました。AP通信は、10台のカダフィ軍の車両が前線に現れ、2時間の激戦を起こしましたが、暫定政権軍は彼らの場所を占領しました。


 バニ・ワリドの中心部から2kmに迫ったということは、かつて河川で、現在は林で隔てられたベルト地帯の北側は占領したという意味でしょう。 それで、完全な攻撃ではないというのなら、バニ・ワリドが陥落するのは間違いがありません。東からも進撃しているというのは、先日、私が指摘したように、中心部への進撃と同時に、東側にあるベルト地帯を横切って進撃することで、攻撃の効率を高めようとしているのです(関連記事はこちら)。典型的な攻撃作戦が実施されています。

 シルトでの戦闘も、あとは時間の問題です。カダフィ大佐の逮捕・殺害も同じでしょう。



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