カダフィ軍は最後通告を拒否

2011.9.1


 BBCによれば、反政府軍はシルト(Sirte)を包囲する活動を実行中です。

 戦闘員はシルトの東と西に配置され、偵察隊は南からの接近を検討しています。反政府派が断食明けの祭「イード・アル・フィトル祭(Eid al-Fitr festival)」に参加したので、戦いは一時的に小康状態になりました。

 反政府軍はカダフィ大佐の外務大臣、アブデラティ・オベイディ(Foreign Minister Abdelati Obeidi)をトリポリ郊外のジャンゾア(Janzour)の彼の農場で逮捕しました。

 カダフィ軍の広報官は、反政府派が突きつけた最後通牒を拒否しました。ノフィリア(Nofilia)にいるBBCのクライブ・ミリイ(Clive Myrie)は、反政府軍指揮官は土曜日よりも前に攻撃を始めようとは思っていないと言いました。週末までにカダフィ軍が降伏することを望む反政府軍と共に、彼は街の近くは1週間最も静かな日々であったと言います。

 ロイター通信はシルトの西方では反政府派とカダフィ軍が衝突が続いていると報じました。シルトの住人は分離された街について話し、そこは電力がなく、ごく僅かな情報しかなくて、外の世界から切り離されています。

 カダフィ大佐の所在は不明ですが、シルトに逃れたという噂があります。彼の息子2人、娘、妻は月曜日にアルジェリアに逃げました。大佐が隠れているという噂があるバニ・ワリド(Bani Walid)の周辺で戦闘が続いています。

 EUは反政府当局が貿易を再開するために、いくつかの石油会社と6ヶ所の港に対する制裁を解除する予定です。イギリス空軍は18億ディナール(16億ドル)の価値がある紙幣の積荷を空輸しています。イギリスで印刷された紙幣は国連の資産凍結の一環として政府が押収していました。積荷は中央銀行に手渡されます。

 国家暫定評議会(NTC)は18ヶ月で選挙を行うと計画していますが、カダフィ大佐が捕まるか殺された時だけ、そのタイムテーブルが始まると言いました。

 BBCによれば、大佐の息子、サイフ・アル・イスラム(Saif al-Islam Gaddafi)は戦いを続けると言いました。ダマスカスに拠点を置くアル・レイ・テレビ(Al-Ray TV)で放送されたメッセージの中で、彼の父親は健在で、リビアの指導部は健在だと言いました。彼はトリポリの郊外から話していると言いました。このメッセージは彼の兄弟、サーディ(Saadi)がNTCと交渉する許可を与えられたと言った数分後に出されました。NTC指導者は、交渉に興味がないことを明確にしました。サイフ・アル・イスラムはシルトに対する攻撃について警告し、街を守る準備をしている20,000人の人々がいると言いました。「私はどこででもリビア人の兄弟に保証をしたいのです」と彼は言い、水曜日の午後にトリポリ地区を散歩したと付け加えました。「神のおぼしめしがあれば、私たちはすぐに緑の広場(Green Square)に挨拶するためにやって来るでしょう」。「緑の広場」は先週、バブ・アル・アジジヤが占領された後で、「殉教者広場(Martyrs' Square)」と名前を変えられました。「抵抗は続き、勝利は目前です」とサイフ・アル・イスラムは言いました。


 シルト戦は避けられない公算が高まっていると、私は考えます。やはり、ミスラタ方面からも反政府派はシルトに接近しており、戦闘が行われているようです。報じられていることは、常に一部であり、全体像ではない点に注意しなければなりません。

 サイフ・アル・イスラムがトリポリ周辺にいるという話は、まったく信じられません。シルトに20,000人も抵抗勢力がいるとも信じられません。

 NTCはカダフィ大佐の居場所を突き止めることにこだわらず、直ちに新政府樹立に向けて動き出すべきです。隠れている特定の個人を見つけ出すのは大変です。結果が出るのを待っているよりも、カダフィ大佐を無視して、新しい政府を作ることです。



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