来年、戦地派遣期間が9ヶ月に短縮

2011.8.8


 military.comによれば、米陸軍は金曜日に戦地派遣の期間を短縮すると発表しました。

 来年初頭から、ほとんどの兵士の派遣期間は現在の12ヶ月から9ヶ月になります。イラク増派の最も多い時で、多くの兵士の派遣期間は15ヶ月へ徐々に増加しました。

 様々な研究は、派遣期間の増加は離婚を増やし、軍人の子どもの学習と行動上の問題の原因となることを示しました。

 この発表は、イラクとアフガニスタンからの撤退の結果ではないとクレイグ・ラトクリフ中佐(Lt. Col. Craig Ratcliff)は言いました。むしろ、それは兵士の福祉を最優先にしながら、どう兵士を派遣するかについての研究の結果です。「(兵士の)要望は流動的なままですが、陸軍は現在これが実行可能だと決めました。これが兵士のために正しいことです」「指導層は兵士に人生の満足感を与えるために、兵士と家族のストレスを減らすのを望んでいます」。

 新しい方針には歓迎できない面があるかも知れません。9ヶ月派遣の兵士には、通常派遣半ばにある休暇がありません。しかし、指揮官には緊急、特別な環境において、休暇を与える裁量を与えられます。

 方針変更は1月1日以前に派遣される部隊には適用されず、個人的に派遣される者と特定の部隊の派遣期間は1年間のままです。兵士をもって必要とする世界の治安状況は、方針を保留にすることがあります。

 派遣と帰国期間の割合は命令の中で触れられていませんが、ラトクリフ中佐は、これも改善しそうだと言いました。「長期にわたり、我々はこの割合が増加するグライドパスの上にいます」。


 通常、米軍の戦地派遣は戦闘部隊においては1年の派遣と1年の帰国を繰り返します。帰国後は長期休暇が与えられ、その後、次の派遣に備えた準備と訓練が徐々に始まります。イラク侵攻後、武装勢力が各地で蜂起したため、必要な兵数は増え、2007年4月に最大で15ヶ月に延長する決定が発表されました。(過去の記事はこちら

 この結果、兵士とその家族は長期間のストレスにさらされることになり、様々な問題が起こるようになりました。薬物・アルコール摂取、精神的問題、自殺、除隊後のホームレス化などです。これらの問題は、過去に何度も紹介してきました。米軍が派遣期間を短縮する必要があると考えたのは当然でした。2010年3月になって、ようやく9ヶ月以上の戦地勤務を終えた者に15日間の休暇を与えるルールが作られ、今回、派遣期間を9ヶ月にするという発表があったのです。(過去の記事はこちら

 これは一つの節目です。イラクとアフガンの問題からアメリカが足を抜くプロセスの一つを過ぎたのです。



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