カダフィ軍がダフィニヤに反撃

2011.7.6


 BBCがリビア内乱の最新情報を報じました。カダフィ軍が反撃を試みましたが、支配地域の変化はない模様です。

 ミスラタ(Misrata・kmzファイルはこちら)のジャーナリストは、ミスラタ西方のダフィニヤ(Dafniya・kmzファイルはこちら)の反政府派の陣地がカダフィ軍から激しい砲撃を受けていると言いました。

 反政府派指揮官は、彼らがミスラタ南部と西部の反政府派がつながったと言いました。反政府派はトリポリへ前進するためにミスラタを抜け出そうとしているところだと言います。

 ミスラタにいるBBCのガブリエル・ゲートハウス(Gabriel Gatehouse)は、最も新しい戦いが火曜日の早くから始まったと言いました。通信社の報道は、政府軍が前進を試みたために、反政府派の陣地は激しく攻撃されたと言いました。ミスラタの病院職員は、11人の反政府戦士が殺され、数十人が負傷したと言い、反政府派の情報源はほとんどが民間人の11人が殺されたと言いました。反政府派指揮官は、街の西と南の陣地をつなぎ、側面に防御の弧を作ったと言いました。

 反政府派は戦闘で負傷して捕虜になったカダフィ軍兵士数名をBBCに示したと通信員は言います。


 昨日は戦闘に関する情報がなく、4日の記事で紹介した、ロシアのソチで開催されたNATO軍の定例の会議について報じられただけでした。そこには大きな変化はなく、ロシアは以前からの批判を繰り返しただけです。

 今日の報道は大きな変化だと言えます。反政府派がミスラタの防衛態勢を整えた点は評価できますが、やはり遅すぎる、もっと早くに完成させて欲しかったという気がします。これは、ミスラタ西部のダフィニヤと空港から南の部分は、これまで別々に前進してきたのを整理し、防衛線を接続したという意味でしょう。やはり、リビア内乱が決着するのは、数ヶ月という見通しのままです。

 カダフィ軍は反政府派の間隙を突くのではなく、ダフィニヤを西方から東方へと圧迫しようとしたようです。これはかなり飽き足りなやり方です。兵数が少ない時は、むしろ、奇計を用いて敵を消耗させるべきですが、カダフィ軍は突撃支援射撃を行った後で部隊を前進させたようです。突撃支援射撃とは、部隊を前進させる前に、前進を支援する目的で敵戦力の損耗を狙った砲撃です。敵が砲撃で損害を出し、退避や死傷者の救護で混乱しているところへ味方戦力を進出させ、攻撃を有効にするために行います。常識的に考えると、死亡した11人の多くは砲撃が原因です。

 その規模などは不明です。できれば、どこを砲撃し、前進した方向、使用した武器も知りたいところです。これについては、続報がありそうです。

 これは敵を圧倒する戦力がある場合に有効な方法で、現状に適しているのかが疑問です。武力を用いて敵の反応を見る威力偵察だったのかもしれませんが、それなら、しばらく後に本当の攻撃があるはずですが、今のところ情報はありません。

  カダフィ軍が装甲車や戦車を用いて攻撃に失敗したのなら、この方面の反政府派は十分な武器を得ているということです。このカダフィ軍の戦力が十分だったとしても、タイミングといい、コンセプトといい、あまり評価できるものではありません。カダフィ軍はかなり損耗し、行動に制約が出始めていると推測できます。直感的には、もう少しでカダフィ軍は崩壊の兆候を見せ始めるように思います。



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