トルコがリビアの反政府派を承認

2011.7.4


 BBCによると、トルコ政府がリビアの反政府派をリビアの代表として承認しました。

 トルコのアーメット・ダビュトグル外務大臣(Foreign Minister Ahmet Davutoglu)は、カダフィ大佐が去る時であると言いました。トルコは先月発表された1億ドルに加えて、反政府派にさらに2億ドルの寄付を申し出ました。

 別の進展があり、反政府派は彼らとリビア政府との交渉をアフリカ連合が後援することを拒否しました。反政府派広報官、アブドル・ハーフィズ・ゴーガ(Abdel Hafiz Ghoga)は「我々は提案を拒否しました。それはカダフィ、彼の息子と側近たちの出国を含みませんでした」と言いました。しかし、暫定国家評議会のムスタファ・アブドル・ジャリル(Mustafa Abdul Jalil)は、カダフィ大佐がすべての権力を放棄する限りは、リビア国内で隠退生活を送ってもよいと認めました。「平和的な解決として、我々は彼に、辞任と彼の兵士たちに兵舎と持ち場から引き揚げるよう命令することを勧めます。それから彼はリビア国内に留まるか、出国するかを決定できます」「彼がリビアに留まるのを望むなら、我々はその場所を決定し、それは国際的な監督の下になされるでしょう。そして、彼のすべての移動には国際的な監督がなされるでしょう」。

 トルコの外務大臣は記者会見の前に、反政府派の拠点、ベンガジでジャリル氏に会いました。「改革を求める国民に答えが与えられるべきです。カダフィは去らねばならず、リビアは分断されてはなりません」とダビュトグル外務大臣は言いました。「私はリビアの人々との連帯を表すためにここにいます。彼らの合法的な権利は理解されねばならず、危機の永続的な解決がなされなければなりません。それはリビア国民の要望に基づいた政治的な解決を通じてのみ可能です」「我々は暫定国家評議会がこれらの目標を達成するための、リビア国民の合法的な代表とみなします」。

 ダビュトグル外務大臣のベンガジ訪問は、当初、西欧主導のリビア反政府派を支援する軍事行動に反対した、NATO主要メンバーのトルコが反政府派を支持していることを示しめします。トルコの企業は2月に内乱が起きる前、リビアで何億ドルもの建設プロジェクトに関係していました。

 一方、ロシア政府はリビア危機は月曜日のNATO会合の課題における重要なアイテムであると言いました。ロシアのソチ(Sochi)で開かれる会合は、ドミトリー・メドベージェフ大統領(President Dmitry Medvedev)とアンダース・フォー・ラスムッセンNATO事務総長(Nato Secretary General Anders Fogh Rasmussen)の会議を含みます。ロシアはリビアでのNATOの軍事行動を批判しています。南アフリカのジェイコブ・ズマ大統領(President Jacob Zuma)も会議に出席します。


 タイでの選挙結果が影響しているかどうかは不明ですが、カダフィ大佐をアフリカ連合の加盟国に出国させた場合、監視が行き届かないことを反政府派は気にしたのでしょうか。それなら、息子や側近の出国は条件にならないので、多分、違うのでしょうね。

 昨日指摘したように、カダフィ大佐が権力を奪還しようとすることを反政府派は恐れているようです。海外からリビア国内に影響力を及ぼし、合法的に権力を奪還しようとすれば、リビアは再び混乱に陥ります。そういう悪い未来を招かない解決を反政府派は望んでいます。

 そのためには、カダフィや彼の息子と側近をリビア国内に幽閉し、大人しく本を読んでいるだけなら自由を認めるという状況に置く方が確かに安心です。しかし、これはカダフィが納得しないでしょう。

 カダフィ大佐が決断するには、やはり反政府派がさらに前進するしかなさそうです。首都に反政府派が迫った時に、本当に首都の中で軍や警察の蜂起が起きて、カダフィ政権が一気に崩壊するのかどうか。リビア危機のポイントはこの一点に尽きるようです。



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