イラクのアルカイダが献金アピール

2011.7.27


 military.comによれば、イラクのアルカイダは火曜日にインターネットで、殺害された戦士の未亡人と子供を救うために必要な金が至急必要だと訴えました。

 スンニ派武装勢力の傘下にあるイラクのイスラム武装勢力は、かつては宝石店や銀行、政府が月給を支払う事務所に押し入り、活動資金をまかなっていました。しかし、このグループは主要な資金源、海外からの資金が涸渇し、資金難になっていました。イラクのアルカイダのオンラインフォーラムに投稿されたアラビア語の声明は、ウェブサイトの管理者、サイフ・サード(Seif Saad)は、グループの財政状況を嘆き、ムジャヘディンの「未亡人と孤児に食べ物を与えるため」の金を緊急要請しました。「数日前、兄弟が妻と子供を残して殉職しました。私たちが、どう生活に最小限必要な金を集めるために方々を走り回ったかは説明するまでもありません」とサードは書きました。

 資金を集めるための新しい方法に、サードは武装勢力に、国際的なメディア機関、外国の石油会社、建設会社、輸送会社、携帯電話会社に金を強請る方法を見つけるよう示唆しました。企業が金を払わない場合、武装勢力はそれらの活動を中断させるのです。彼は詳細は述べませんでした。

 彼はビジネスマンと裕福な家族は、イスラム教が資産の約2%と規定する寄付、ザカート(zakat)を支払うべきで、「アメリカと西欧から支援を受け取り、国の石油収入を盗む」イラクの裕福なシーア派に対して罰金を科すよう要請しました。

 もう1人のウェブサイトの管理人、モハメッド・アブドル・ハーディ(Mohamed Abdel-Hadi)は、外国企業から金を取る考えを否定しましたが、シーア派に罰金を科すことを強く支持しました。「商人や政府職員を含むすべてのシーア派は異教徒であり、彼らの金を押収することは聖戦の一部です」。

 ウェブサイトにコメントを投稿した者は、武装勢力が会社幹部を誘拐して多額の身代金を手に入れ、武装勢力に提供することを示唆しました。もう1人の投稿者は、インターネット・ハッカーを雇い、アメリカの銀行から信頼できる人々に金を転送するよう勧めました。投稿者は詳細を述べませんでした。

 イラクのイスラム国家(The Islamic State of Iraq)は、昨年のイラク中央銀行と国営投資センターの強盗で犯行声明を出しました。

 過去にアルカイダは資金調達のためにアピールを行ってきました。ある要請はオサマ・ビン・ラディンの死後、組織の指導者になったアイマン・アル・ザワヒリ(Ayman al-Zawahri)によってなされました。去年、アルカイダのアフガニスタンの指揮官、ムスタファ・アブ・アル・ヤジード(Mustafa Abu al-Yazeed)はNATO軍と戦う武装勢力が資金と装備品の欠乏に阻まれていると言い、資金拠出をアピールしました。5月にパキスタンで米軍に殺されたビン・ラディンもいくつかの声明において、ビジネスマンにアルカイダへの施しを指示し、資金拠出をアピールしました。


 アルカイダが婦女子のための金というのは名目で、闘争資金がないのです。しかし、それに応答したのが単なる空想話みたいな案だけとは、情けない話です。こういう発言はアラブでは特に珍しくなく、外野は好きなことが書けるものでもあります。それでも、これが本当のテロ活動に変化することもある点は注意が必要です。

 外国からの資金が減っているのは、アルカイダの最終的目標があまりにも現実離れしていること、同時多発テロ以外に大きな進歩がないため、イスラム教徒の関心が薄れているのかもしれません。エジプトでは政変があり、リビアでは紛争中、ソマリアは大飢饉と、アルカイダの崇高(?)な目標に関わっている暇がない国が増えたのは確かです。

 しかし、それを手放しで信用するほどの材料もありません。アルカイダの詳しい財政状況は不明のままです。イラク軍や警察がアルカイダの強盗をどれだけ防げるようになったかも、報道記事からはよく分かりません。サードが言うような強請が上手く行くかは、しばらく様子を見ないと何とも言えません。かつてのように、外国から紛争地へアルカイダの戦いに参加するために戦士が流入する事例は減りました。現地の武装勢力が独力で活動したり、アルカイダに感化された人物が単独でテロ活動をすることに、アルカイダの活動は変化していくかもしれません。特に「孤独なテロリスト」が要注意であることは、ノルウェーで起きたキリスト教原理主義者、アンネシュ・ブライビークの大量虐殺事件で明らかです。犯行や供述からして精神異常が強く疑われる人物ですが、 そんな人でも大事件を引き起こせるのです。



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