カダフィ退陣交渉の続報

2011.7.13


 BBCがリビアのカダフィ大佐が退陣を望んでいる件を報じました。目新しい部分だけを選んで紹介します。

 アラン・ジュペ外務大臣(Alain Juppe)は特使が誰かを言いませんでした。フランス外務省広報官、バーナード・バレーロ(Bernard Valero)は「カダフィの名においてやって来たという特使たちがいます。重要なことは、我々は彼らに同じメッセージを送り、これについて我々の同盟国と密に連絡を取っているということです」と言いました。

 フランス議会が4ヶ月になるリビア空爆の継続を討議している時にコメントが出されました。フランソア・フィロン首相(Prime Minister Francois Fillon)は政治的解決が「形になり始めている」と議会に言いました。パリにいるヒュー・スコフィールド記者(Hugh Schofield)は、誇張されたことが発覚するかもしれないものの、リビア作戦を主導しているフランスは、これが結末に向かっていることの最初の兆候を示しているようだと言いました。


 この記事が示しているように、フランス政府が議会の説得のためだけに、この話を誇張している危険性は確かにあります。特使の名前が出ていない点は気になります。カダフィが特使を送ったという他の地域は、まだ事実を認めていないために、その確認ができません。それでも、戦況から言って、否定できることでもないのです。カダフィ軍はもはや後退を続ける一方で、このまま行くと、惨めな敗北を喫するだけです。ガリヤンが陥落すれば、あと少しでナフサ山脈から出られます。あとはトリポリまで平地ばかりで、防御は困難です。カダフィ大佐は、なんとか最後の名誉を守って退陣しようとする段階に来ています。

 交渉が事実でも、カダフィ大佐があれこれと条件をつけると交渉は失敗に終わるでしょう。フランスはカダフィ大佐を法廷に連れて行きたいでしょうが、紛争の早期終結を考えれば、アフリカ連合加盟国への亡命を認めざるを得ないでしょう。お互いが妥協することで、紛争を終わらせることが重要なのです。

 フランスの発表により、民間軍事会社の雇い兵たちは逃げ出すでしょう。戦闘は厳しくなるのに、報酬がもらえずに終わる危険が高まったと判断できるからです。

 なお、今日はリビア内戦の戦況に関する記事はありません。



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