内紛でタリバン指揮官が暗殺か?

2011.6.28


 military.comによれば、パキスタン、北ワジキスタンの部族地域の主要都市、ミラン・シャー(Miran Shah)の近くで、タリバン指導者、シャキルーラー・シャキル(Shakirullah Shakir)がオートバイに乗っている時、着色した窓ガラスの車に乗った男に射殺されました。

 シャキルはパキスタンのタリバン、フェダイーン・エ・イスラム(Fidayeen-e-Islam)の高官で広報官です。彼はかつて、このグループは北ワジキスタンの訓練基地で1,000以上の自爆テロ犯を訓練していると言いました。

 この事件の犯行声明を出したグループはありません。

 北西部の別の場所で、タリバン高官が月曜日に、シャキルが民間人への攻撃に反対して、グループを離脱していたと言いました。武装勢力が身内を批判するのは希なことです。

 ファザイ・サイード(Fazal Saeed)は、彼自身の武装グループ、テリク・エ・タリバン・イスラミ(Tehrik-e-Taliban Islami)を編成し、アフガニスタンでNATO軍と戦おうとしていたと言いました。パキスタンのタリバン、テリク・エ・タリバン・パキスタン(Tehrik-e-Taliban Pakistan)は、パキスタン政府と戦うことを主眼にしています。

 アフガン国境に近いクーラム部族地域(Kurram tribal area)のパキスタンのタリバン高官であるサイードは、自爆攻撃で民間人を狙い、モスクを爆破するグループを批判しました。

 「我々はこうした攻撃で、非武装の無辜の人々を殺すことに繰り返し反対してきましたが、警告は報われず、我々はテリク・エ・タリバン(パキスタン)から別れました」と、彼は非公開の場所からの電話でAP通信に言いました。

 パキスタンのタリバンはしばしば民間人を殺すことを否定しますが、彼らが実行していることは広く信じられています。

 サイードの分派が、近くパキスタン軍がクーラム地区で行う軍事攻勢と関係があるかは不明です。パキスタン軍は、パキスタンを攻撃せず、アフガンを攻撃する武装勢力を標的にしないという過去の取り決めを破棄しました。


 記事中の米軍の無人機によるミサイル攻撃とパキスタン議会の動きに関する記述は省略します。

 シャキルがテリク・エ・タリバン・パキスタンに暗殺されたのは間違いないでしょう。そして、記事がサイードの主張を信じていない点、パキスタン軍が武装勢力を区別せずに攻撃すると方針を変えたところが興味深いところです。

 記者がサイードのグループが民間人への攻撃を批判していた事実を知っているのかは不明です。しかし、記事は、サイードの主張はパキスタン軍の攻撃を避ける方法を探るための方便と見ているようです。

 本当にパキスタン軍がすべての武装勢力を攻撃するのなら、民間人を攻撃と宣言しても意味はありません。しかし、そういう密約が不思議でないのがパキスタンです。以前からパキスタンのテロ対策は理解できないものです。その情報局はテロ組織とつながる一方でアメリカと密約を結びます。一部のテロ組織を見逃す可能性もあるのです。



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