メラクが軍施設への発砲でも逮捕

2011.6.25


 military.comによれば、別件で拘束中のヨナサン・メラク(Yonathan Melaku)は、昨年のワシントンで起きた国防総省などへの一連の銃撃事件に関して逮捕されました。新しく報じられたことについて紹介します。

 連邦検察官は裁判書類の中で、彼らがメラクのバックパックの中に爆弾を作る素材を見つけ、後に彼の自宅で爆弾の部品のリストを見つけたと言いました。さらに検察官は、昨年秋に海兵隊博物館に発砲し、「アッラー・アクバル(神は偉大なり)」と繰り返し叫ぶのを撮影したビデオも見つけたと言いました。「これが彼らが得た物。これが私の標的。これが軍の建物。攻撃されようとしている」と彼はビデオで言いました。ビデオは、彼が助手席から外に発砲するのを示します。海兵隊広報官によれば、軍の記録では、メラクは自分の宗教をイスラム教としていました。メラクは2007年9月以降、海兵隊予備役隊員ですが、海外派遣の経験はありません。メラクの軍の記録は統一軍規法典上の違反がないことを示します。しかし、メラクは10月14〜17日の参加義務のある演習に来ませんでした。海兵隊博物館の銃撃は10月17日に起きています。メラクはいくつかの演習を埋め合わせし、毎月の職務に出頭し続けています。

 メラクが持ち運んでいたバックパックには、爆弾に使われ、肥料として入手できる硝酸アンモニウム、アルカイダ、タリバン、オサマ・ビン・ラディンに言及したスパイラルノート、使用済みの9mm弾の薬莢、作業手袋、ヘッドランプ、スプレー式塗料缶が入っていました。硝酸アンモニウムは「AN」と印がつけられたプラスチックの袋に入れられていましたが、物質は不活性だったと当局は言いました。弾道学上の証拠は昨年の発砲で9mmの拳銃が使われたことを示し、メラクのバックパックの薬莢は発砲に使われたのと同じブランドでした。彼の寝室で、アルカリ電池、9ボルト用バッテリーコネクタ、LEDライト、エキポシ及び瞬間接着剤を含む、爆弾製造に使う物が見つかりました。

 木曜日、バージニア州東部担当連邦検事ニール・マクブライド(Neil MacBride)は、メラクがさらに罪に問われる可能性があると言いました。

 すべての罪状について有罪なら、メラクは少なくとも禁固35年と終身刑が科される可能性があります。FBIワシントン支局の支局長補佐のジェームズ・マクジュンキン(James McJunkin)は、メラクは「金曜日の事件まで我々のレーダーにかからなかった」と言いました。彼は、メラクが軍人墓地の破壊を試みていたようだと言いました。当局は彼が単独犯だと考えています。


 個々の証拠から見て、メラクが一連の銃撃事件の犯人であることは確実です。

 この事件の教訓は、こういう「孤独なテロリスト志願者」は発見しにくいということです。FBIは早くから犯人を海兵隊員と判断していましたが、彼を見つけたのは別件での逮捕がきっかけでした。FBIが事件当日に欠勤した海兵隊員を調べなかった理由は不明ですが、とにかく、別の筋から見つかったのです。

 以前から、アルカイダにシンパシーを感じ、自分で独自に行動を起こすテロリストが出てくると、事件が起きるまで察知できないと指摘してきました。メラクはその典型です。

 犯行の手口は初歩的です。しかし、オウム真理教も最初は宗教オタクの集まりみたいだったのが、重大なテロ事件を引き起こしたことを忘れてはなりません。こうした犯人は簡単なことから始めて、次第にレベルを上げていくものです。メラクは一連の銃撃事件で満足を感じて、それ以上は行動に出なかったのですが、おそらくは、オサマ・ビン・ラディン暗殺に刺激を受け、何らかの報復行為を行うべきだと判断したのです。彼が捕まらなければ、将来、大きな事件を引き起こした可能性があります。

 当サイトで、こういう小さな事件も扱うのは、こうしたテロ活動の特徴を想定するからです。



Copyright 2006 Akishige Tanaka all rights reserved.