パキスタンがCIA要員にビザを発給へ

2011.6.23


 military.comによれば、オサマ・ビン・ラディン襲撃の後、信頼醸成のためにパキスタンは3ダースのビザをCIA要員に交付すると言いましたが、ビザはまだ交付されていません。

 匿名を希望する当局者は、ビザはパキスタンの当局者が統合諜報チームと呼ぶ対テロ活動を再構築するための合意の一部だと言います。この合意はパキスタン情報局長、アーメド・シュジャ・パシャ中将(Lt. Gen. Ahmed Shuja Pasha)とCIA長官、レオン・パネッタ(CIA director Leon Panetta)を含むCIA当局者との間でイスラマバードでの会談の後で結ばれました。

 ラホール(Lahore)で2人のパキスタン人を射殺したCIA請負業者、レイモンド・デイビス(Raymond Davis)に関する議論の後、一部の者の更新がされず、出国を強いられたので、ビザはCIA要員の補充を助けます。彼は遺族が補償金を受け取るよう手配されたあとで釈放されました。

 数名の追加要員が、アルカイダの重要目標を探す拡張された統合諜報活動に参加することを許されるでしょう。パキスタン当局が何度も約束し、保証したにも関わらず、ビザはまだ交付されていません。パキスタンは単に時間の問題だと言いますが、当局者はいつ提供されるかは言いませんでした。

 パキスタンと関係を再構築するアメリカの試みはがたついています。アメリカ当局者は、パキスタン部族地域の4ヶ所の爆弾工場に関する情報を共有しましたが、武装勢力はパキスタン軍が踏み込む前に故意または不注意に情報を提供されました。パキスタン軍当局者は、彼らが武装勢力に情報を提供したことを否定しました。


 レイモンド・デイビスは元米軍の特殊部隊員で、今年1月に強盗を働こうとした2人の男から身を守ろうとして、彼らを射殺したと主張しています(BBCの記事はこちら)。デイビスを助けに来たアメリカの車両が別の1人をひき殺していますが、この件は起訴されませんでした。匿名を希望する米当局者は、彼はCIAのために働いていたと言いました。しかし、事件当時彼が何をしていたのかは不明のままです。

 この事件が何を意味するのかは不明ですが、おそらくは対テロ活動のための情報収集でしょう。デイビスの件はともかく、車でひき殺した件が問題とされていないことからも、パキスタン当局が承認した上での活動だったと考えられます。ビザの発給停止は表向きで、それを急がせたい米当局が情報をリークして記事にしたようにも見えます。



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