反政府派も砲撃で応戦中

2011.6.18


 ズリタン周辺での戦闘について続報が出ました。BBCによれば、カダフィ軍がリビアのミスラタ近くの目標を砲撃して、少なくとも10人が死亡し、30人が負傷しました。

 砲弾とグラートロケットはダフィニヤ(Dafniya)とズリタン(Zlitan)の間にある反政府派の前線に着弾しました。それより早く、NATO軍の軍用機が首都トリポリの政府と軍の目標に向けて日中に攻撃を行いました。

 反政府派もロシア特使による、彼らがカダフィ大佐と交渉している提案を今日比しました。暫定国家評議会の外交問題担当、マムード・ジブリール(Mahmoud Jibril)はいかなる会談もこれまでに行われていないと言いました。イタリアのフランコ・フラティーニ(Foreign Minister Franco Frattini)との会談の後、ナポリで彼は計画された交渉はあり、暫定国家評議会は「世界中の我々の有人に向けて関与を公表します」と言いました。「我々は、我が国を解放し、憲法と平等の権利に基づいた民主的な政府を確立するために、政治的であれ軍事的であれ、すべての可能な手段を追求します」。

 以前に、ロシア特使、ミハイル・マゲロフ(Mikhail Margelov)はチュニスで、カダフィ大佐の代表がベルリンやパリ、オスロを含む複数のヨーロッパの首都で反政府派と接触したと言いました。リビアのアル・バグダッディ・アル・マフムーディ(al-Baghdadi al-Mahmoudi)も、予備的な会合があったと言いましたが、詳細は言いませんでした。

 金曜日に砲弾とロケットの集中砲火がミスラタ西方に着弾しました。反政府派はミスラタから約32km離れた前線から、彼らの砲とロケットで応戦しました。反政府派指揮官、モハメッド・アリ(Mohammed Ali)は、彼らがズリタン近くのナイーマ(Naima・kmzファイルはこちら)にいる戦車と弾薬庫を狙っていると言いました。「我々はすべてを今日終わらせるという戦略を持っていますが、戦闘員たちの一部は遊びのつもりです」「彼らは撃つ必要がない時に撃ち、それを破壊してしまいました」。

 NATO軍広報官、マイク・ブラッケン中佐(Wing Cdr Mike Bracken)は、この地域の「一部の民間人がカダフィ政権に反対して一つになりつつあるという肯定的な兆候がある」と言いました。「状況は切迫していますが、しばらくの間、カダフィ軍は反政府派軍がトリポリへ向けて徐々に前進するのに強力に対抗することができないようです」。


 交渉の中身は不明ですが、内容は想像がつきます。カダフィ政権は停戦と交渉の開始で時間を稼ぎ、外国部隊が疲れるのを待とうとします。反政府派はカダフィの退陣が唯一の条件だと突き返すのです。その一方で首都に向けた進撃は続きます。ブラッケン中佐が言うとおり、情勢は切迫しています。

 この記事で、反政府派が前線に砲兵隊を置いていることが確認できました。そのダフィニヤとナイーマの間隔は15kmくらいです。この距離に砲兵を置くのなら、砲は自走式でないとカダフィ軍の反撃を受けそうです。そして、砲兵の数が問題です。こちらが優勢なだけの数を確保できているかが問題ですが、現状で敵を凌駕できていないので、少数なのだろうと思われます。その基幹隊員はカダフィ軍から離反した兵士で、それに後から訓練した者たちを加えた陣容でしょう。この位置に砲兵が進出しているということは、前方に戦線があるのでしょう。しかし、そういう場所に素人みたいな人たちが配備されていることも、アリ指揮官の発言により確認されました。反政府側から見て、戦線左翼から側面を突こうとしていることも確認できました。戦術は妥当ですが、戦力不足により進展が遅れているのです。



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