カダフィ軍が中国製クラスター爆弾を使用

2011.5.9


 BBCの記事から、リビア内乱に関する記述を抽出しました。

 BBCによれば、トルネード戦闘機2機が、金曜日にシルトの近くで、ロケットを40マイル(64km)以上を飛ばせるFROG-7を攻撃しました。航空機は、長距離のスカッドミサイルを運搬するのに使うコンテナを少なくとも30個破壊しました。

 イギリスのリーアム・フォックス国防大臣(Defence Secretary Liam Fox)は、リビアでの任務が長くかかりすぎていることを否定しました。

 反政府派とビデオ画像が主張した中国製の対車両地雷の使用が人権団体より確認されました。ニューヨークタイムズによれば、それらは飛行中に開くロケットから小型のパラシュートにより投下されました。フォックス国防大臣は「私には、この武器の備蓄が無辜のリビア人を脅し、殺すのに使われたことに疑いがありません」と言いました。リビア政府はクラスター爆弾を使っているという報道を一貫して否定してきました。

 ニューヨークタイムズの記事によれば、木曜の夜、少なくとも20個の中国製84型モデルA地雷(Type 84 Model A mines)の地雷がロケットから小型パラシュートでミスラタに投下されました。直後に、港湾監督は、それらの1発が警戒中のトラックの下で爆発し、乗車中の男性2人が負傷したと言いました。反政府派は、カダフィ軍がミスラタの燃料タンクも爆撃し、火災を起こさせたと言いました。

 フォックス国防大臣は、英空軍の作戦は「非常に成功した」と言いました。それはカダフィ軍への攻撃がどうステップアップされたかという実例だと、彼は付け加えました。「我々は、戦車、装甲兵員輸送車、民間人を脅かすロケットランチャーを含んだ、広範囲な軍事的資産を傷つけ、破壊し続けます」「国際的な連合軍は民間人を保護するという国連が委任した任務を行う覚悟です」。

 目標は事前の偵察飛行の間に特定されました。

 スカッドミサイルは約200マイル(320km)の射程で、1トンの弾頭を搭載できます。「Sky News」のマーナガン(Murnaghan)の番組で、フォックス国防大臣はリビア作戦が長くかかりすぎているという意見を否定しました。「民間資産に損害を与えず、民間人の危険を最小限にして、犠牲者をより減らしながら、政権の能力に徐々に打撃を与えるために空軍力を使うとき…それは素早く進展することはありません」「我々が数週間前にいたところを見るなら、ベンガジ陥落の脅威と、ほとんど百万の人たちの潜在的な人道的な危機がありました。我々はその脅威は取り除かれたのを見てきました」。

 飛行禁止区域が3月に設定されたときから、NATO軍の航空機は5,300回以上の飛行を行いました。

 BBCによれば、イギリスのウィリアム・ヘイグ外務大臣(Foreign Secretary William Hague)は「軍事行動のテンポはここ数日に増加させられたのと同じように増加させ続けなければなりません」と言いました。


 同じイギリス政府の閣僚でも、外務大臣の方が作戦を急ぐべきだという意見で、国防大臣の方がのんびりしています。フォックス国防大臣は、リビア作戦の特徴を分かっておらず、単に国連の命令を守ればよいという受け身の態度のように思われます。これでは、難しい内戦を短期間で終わらせることはできそうにありません。そのためにアイデアを出す必要も感じていないように見えます。

 ordatamines.maic.jmu.eduの写真付きの解説によると、84型地雷は車両の腹部を攻撃する成型炸薬弾と4〜72時間で選択できる自爆装置があります。84型Aは磁気信管で、その他は接触信管です。Bは板に車両が接触すると、Cは自己展開型の棒に接触すると起爆します。122mmの多連装ロケットで散布されます。Wikipediaによれば、84型は110mmの装甲板を貫通する力を持っています。

 スペイン製の「MAT-120」に続いて、リビア軍がクラスター爆弾を持っていたことが明らかになりました。カダフィ軍はミスラタ港を攻撃しているようですから、明らかに補給拠点に打撃を加えたいとしているのです。これを止めるのがNATO軍の空爆なのですが、やっている人たちに自覚がないので、このまま延々と続くことになりかねません。反政府派はミスラタから先へ駒を進められず、カダフィ大佐が死亡するまで、戦いが続くことになりそうです。


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