ロシアがリビア調停を申し出

2011.5.28


 military.comによれば、ロシアが金曜日にリビアのカダフィ大佐に出口の調停を申し出ました。

 「彼は去らなければならない」とロシアのドミトリー・メドベージェフ大統領(President Dmitry Medvedev)は言いました。アナリストはロシアがカダフィ大佐に対して力があるかに懐疑的です。フランスとイギリス、ドイツの指導者たちはカダフィ大佐自身と直接交渉するのは無意味だと言いました。メドベージェフ大統領はG8の記者会見で、ベンガジに特使ミハイル・マルジェロフ(Mikhail Margelov)を派遣し、リビア政府とすぐに会談を始められると言いました。また、メドベージェフ大統領は紛争の平和的な解決を交渉するために、ロシアはカダフィ政府と反政府派の両方と接触すると言いました。

 ロシア当局はカダフィ大佐を批判してきましたが、NATO軍が過度の武力使用を批判し、敵対行為の早期終結を主張してきました。セルゲイ・ラブロフ外務大臣(Foreign Minister Sergey Lavrov)は最近、カダフィ政府と反政府派両方の代表とモスクワで会談を開きました。

 ロシアがカダフィに保護を提供できるかについて、メドベージェフ大統領は否定的な答えをして、彼が住む場所やその他の詳細は、彼が退陣したあとで話し合われると言いました。メドベージェフ大統領は記者に、カダフィの息子を含むリビア政府の妥当な代表と交渉する必要があると言いました。

 反政府派広報官、アブドル・ハーフィズ・ゴーガ(Abdel-Hafidh Ghoga)は、カダフィ大佐に権力から離れるように説得するロシアの動きはあまりにも小さく、遅すぎたと言いました。

 モスクワに拠点を置く中東研究所(Middle East Institute)の専門家、エヴゲーニー・サタノフスキー(Yevgeny Satanovsky)はカダフィ大佐の退陣に疑問を表明しました。カダフィ大佐は「関係するすべての者のために予測できない結果をもたらす終わりまで戦うでしょう」「彼はすでに退陣することに同意しましたが、ベンガジは彼の頭の皮を剥ぐ必要があります」。サタノフスキーは、カダフィの予測できない退陣は、ロシアが調停者として介入して起きることの具体的な予測により、ほとんど余地を残さないといいました。

 BBCによると、G8は新しいアラブの民主国家を支援するために200億ドルを提供すると発表することになっています。

 エジプトとチュニジアの指導者たちは、最近の反乱の後で新しい政府を支援する方法を議論したオバマ大統領とその他のG8代表、ヨーロッパ連合の指導者と会うことになっています。しかし、金が何のために使われるか、金がすでに約束済みの分を含むかは不明です。また、オバマ大統領は「民間人を保護する国連の命令は、カダフィ大佐がリビアに残り、リビア国民に対する侵略行為を命じる間は、達成できません」「我々はこの仕事を終わらせるために参加しました」と言いました。


 ロシアが国際紛争に調停を試みても、最近うまく行ったことはありません。湾岸戦争の時も外相をモスクワに呼んで調停を試み、失敗しています。この時も武力対決が避けられない段階に来てから、ようやく交渉に乗り出しましたが、サダム・フセインが納得するような条件を提示できなかったのです。リビアでも特にカダフィ大佐が関心を示すような話を提案できるはずはなく、徒労に終わるでしょう。やるだけやって、ダメしたとという結果になるでしょう。しかし、ロシアがカダフィ退陣で意見が一致していることは、逆に安定要因です。

 G8に関する報道でも、リビア情勢は結末が見えないというものが多いようです。確かに、戦闘を確実に終わらせる条件は整っていません。しかし、ミスラタが陥落し、反政府派とNATO軍の攻撃は徐々に首都へ迫りつつあります。早急に結果は実らないものの、あとは時間の問題と言える段階に来ていることも確かです。私はカダフィ退陣まで数ヶ月かかるかもしれないと見ていますが、カダフィ政権の勢力が正確に分からないので、もっと早くに終わる可能性もあります。あるいは、反政府派やNATO軍が大きな間違いをして、結果を先延ばしにしてしまうこともあります。また、カダフィ大佐は自分から身を引いて、国を救おうとするようなタイプの人間ではありません。自分こそが国家であると考え、最後まで戦い続けるでしょう。自分は国外に逃亡し、国内に残存した支持者にテロ戦をさせる可能性もあります。この大佐の執着心が戦いを長引かせるかもしれません。シナリオは何通りもありますが、私は2〜3ヶ月で終わる可能性が最も高いと考えています。


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