リビアに攻撃ヘリコプターを派遣か

2011.5.25


 BBCによれば、月曜日にフランスのジェラード・ロンゲ外務大臣(Defence Minister Gerard Longuet)は、イギリスがカダフィ大佐に対して攻撃ヘリコプターを使うことを認めるだろうと言いましたが、イギリスのニック・ハーベイ国防副大臣(defence minister Nick Harvey)は否定しました。

 ロンゲ外務大臣は月曜日にEU会議で記者に「我々と似た資産を持つイギリスも関与するでしょう。イギリスが考察するものは、より早く、よりよいものです」と言いました。しかし、ハーベイ副大臣は火曜日に議会にこう言いました。「私の理解は、フランス人が本当にリビアに彼らの攻撃ヘリコプターを展開する決断をしたということです」「私はすべての疑いを避けるために、再び述べます。そのような決定はイギリスではなされていません」。「それは我々が検討しているオプションであり、決定について我々が議会に知らせなかったと言うことが真実であるとはまったく思いません」。

 彼はヘリコプターの使用はリビアでのNATO軍の任務のエスカレーションを意味せず、移動する目標をより正確に攻撃する能力を向上させるための戦術的なシフトであると主張しました。政府の否定にも関わらず、あとで米当局はイギリスのアパッチヘリコプターの派遣を認めたように見えました。大統領広報官は「イギリスの追加の貢献は、もちろん、連合軍の能力を強化する重要な活動であり、我々は間違いなくそれを歓迎します」と言いました。

 BBCの国防担当記者、キャロリン・ワイアット(Caroline Wyatt)は、一部の軍情報筋はフランスの攻撃ヘリコプターの使用と、おそらくは将来の段階でイギリスのアパッチヘリコプターが、作戦のエスカレーションとして、非常に潜在的で効果的な兵器として関心を示していると言いました。記者は、軍指揮官はアパッチがアフガニスタンで武装勢力に対して価値を証明したと言いました。彼らはヘリコプターの到着を大変に、ジェット機以上に恐れました。ヘリコプターの武器は市街地ですら、狙撃兵のような個々の目標を対象に使えるからです。専門家はヘリコプターは素早く目標を特定できますが、攻撃機よりは弱いと言います。NATO軍筋はBBCに、NATO軍はフランスに攻撃ヘリを送るよう迫りませんでしたが、同盟はそれらが送られることを、リビアで能力を格段に向上させるので歓迎していると言いました。

 アパッチヘリコプターはイギリス海軍最大の戦闘艦「オーシャン(HMS Ocean)」から展開できます。


 アパッチヘリコプターの派遣はほぼ決まっているようです。これは強力な支援火器で、反政府派と連携しながら使えば、カダフィ軍は後退を余儀なくされるでしょう。反政府派が前進するとき、上空からアパッチヘリコプターが反撃を探知し、攻撃すれば、カダフィ軍の反撃は困難になります。

 しかし、カダフィ軍の携帯型対空ミサイルで撃墜される危険があるのと、リビアの民間人をカダフィ軍兵士と誤って攻撃する恐れがある点で、手放しでは歓迎できません。運用には細心の注意が必要です。強力で柔軟性に富んだ武器であるからこそ、気をつけなければなりません。

 このように、段階的に戦いをエスカレートできるのなら、最初からそうすればよかったのだと、私は考えます。リビア動乱への介入は、最初から明確な戦略なしに始まり、なかばなし崩し的に進められているように見えます。もし、反政府派の支援が失敗するのなら、こうしたヨーロッパ諸国の煮え切らない態度が原因です。


Copyright 2006 Akishige Tanaka all rights reserved.