リビア:ミスラタ空港が陥落

2011.5.12


 BBCによると、リビアの反政府軍はミスラタ空港(Misrata airport)を占領し、カダフィ軍を後退させました。燃える戦車を残してカダフィ軍が逃げた後、何百人の人々が通りで祝いました。

 目撃者はミスラタ空港は夜間の何時間もの戦いのあとで陥落したと言いました。カダフィ軍の死体が通りに横たわっているのが見られたと特派員は言いました。1ダースの反政府派が戦闘で負傷したと言われました。ベンガジの反政府派広報官、アーメド・バーニ大佐(Col Ahmed Bani)は、空港を奪取するだけでなく、革命軍はいま、ミスラタを支配していると言いました。政府の戦車を燃やすだけでなく、反政府派はカダフィ軍から武器を奪ったと、彼は言いました。


 ミスラタ空港が陥落したことで、この地域の戦いには区切りがついたと考えられます。

 反政府派の次の目標は、空港から直接照準射撃兵器の射程外にカダフィ軍を追い払うことです。そうすれば空港が使えるようになり、補給路がより増えます。

 空港の南西には武器庫と見られる掩蔽壕もあり、ここには武器が残されているかも知れません。バーニ大佐が武器を奪ったと言ったのは、それを指す可能性もあります。

 空港まで南下すると、周囲は農地が中心になり、戦闘は市街戦から野戦に近くなります。すでに、ミスラタの市街地はすべて反政府派が支配したといえます。農地は見晴らしがよくて、射線が通り、家屋を個別に奪取していく戦いになります。市街戦のような膠着状態は起きにくいでしょう。住宅が建て込んでいないので、民間人への被害を避けるNATO軍の空爆も容易になります。そして、ミスラタの南方郊外を南西へ走る幹線道路を奪えば、西方にあるズリタン(Zlitan)への進撃が容易になります。フムス(al-Khums)までの進撃はそれほど難しくないはずですから、これでトリポリ攻略の足がかりがほぼ整うことになります。


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